児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

タクシー運転手が乗客である児童に1万円を渡して性交類似行為をしたとして児童買春で起訴された事案において,被告人の犯行をうかがわせる事情は少なからず認められるものの,被害者の供述は重要な部分において不自然に変遷しており信用できないとして被告人を無罪とした事例(名古屋地裁H21.12.4)

 地元の弁護士さんだと聞いています
 当初否認で、自白に転じて、略式命令に対して正式裁判請求という経緯です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100420112851.pdf
事件番号 平成20(わ)2022
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
裁判年月日 平成21年12月04日
裁判所名・部 名古屋地方裁判所 刑事第3部
判示事項の要旨 タクシー運転手が乗客である児童に1万円を渡して性交類似行為をしたとして児童買春で起訴された事案において,被告人の犯行をうかがわせる事情は少なからず認められるものの,被害者の供述は重要な部分において不自然に変遷しており信用できないとして被告人を無罪とした事例

(3)加えて,被告人は逮捕当初,犯行を否認していた。自白に至るまでの被告人の弁解の概要は以下のとおりである。
(8月13日付け警察官調書,弁解録取書
「児童買春をした覚えはありません。車の中でエッチな話はしました。」
(同日付け警察官調書)
「その後冷静になってよく考えたところ,女の子に現金1万円を渡した後,服の中に手をつっ込んで胸をもんだり,おまんこつまり女性器をパンツの上から触ったことは間違いのないことなのです。ウソを言って申し訳ありませんでした。」「年齢は聞いた覚えがありませんが,高校生と聞いた覚えがあります。」
(8月14日付け検察官調書,弁解録取書
「女の子の乳房を触ったことや,女の子に1万円を払ったことは,間違いありません。」「女の子の年齢が,18歳になっていないということは知りませんでしたし,相手の女の子の膣内に指を挿入したこともなく,口淫させたこともありません。」
(同日付け裁判官面前調書,勾留質問調書)
「検察官に述べたとおりです。」
その後の8月15日になり,被告人は,事実関係を概括的に認める旨の上申書を作成し,それ以降,自白調書が作成された。
しかしながら,否認から自白に供述を変えた理由については,「昨日の夜留置場で落ちついてよく考えたら思い出せたのです。(8月15日付け上申書)」,「勾留されてから落ち着いてよく考えてみると,読んで聞かせてもらった逮捕事実について私がやった事実に間違いのないことだとよく思い出すことができました。(8月15日付け警察官調書)」,「留置場の中で冷静になり,事件を思い返してみて,このまま嘘をつき続けることは,自分の人生においてもいけないことだと思い直し,反省して,本当のことを言う気持ちになりました。(8月20日付け検察官調書)」と述べるものの,その内容はいささか平板あるいは紋切り型であって,否認を自白に改める説明としては説得力に欠ける内容といわざるを得ない。
(4)結局,これら事情を総合考慮すると,被告人の捜査段階における自白調書(乙6)のうち,被告人がAの胸をもんだこと,陰部を触ったり中に指を入れたこと,口淫をさせたことに関する部分は信用できないと判断せざるを得ない。