高額の詐欺罪の量刑なんて、調べればわかる話で、あまり早い段階でコメントすると外れます。
被害者1名の場合、数回の財産犯が仮に併合罪になってもたいてい1罪の法定刑の範囲内で量刑されてますよね。もともと法定刑の上限下限が広いから。
併合罪を強調するんなら、数罪の事件の求刑もみんな11〜15年の求刑になるはずで、そんなことにはなってない。
併合罪加重というのは処断刑期の上限の話で、下限が一罪の法定刑の上限になるという話ではないですから。
最近の併合罪加重の判例(統一処断刑形成説)を見ていると、簡単にいえば、罪数処理としては併合罪にしておいて、処断刑期の上限を上げておいて、全体として犯情を評価して、10年で足りるかどうかも考慮してフリーに量刑してるんですよ。軽いのは併合罪でも数年にして、重いのは処断刑期の上限(15年)まで使いますよということです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000038-sanspo-ent
詐欺罪の最高刑は懲役10年。日大大学院法務研究科の板倉宏前教授(74)は、一般論として「最初から(権利を)譲るつもりがなかったのなら、完全な詐欺罪になる」と言い切る。5億円の詐欺罪については「返済しても実刑になる。返済すれば3年くらい、返済しない場合は5〜6年の実刑。5億円となると、5年は妥当だと思う」とコメントした。白鴎大法科大学院の土本武司院長(73)は「ロッキード事件のわいろも5億円」と第一声。今回の事件では5億円の支払われ方に着目し「もし、2度以上の分割だったとすれば、併合罪が適用される可能性もある」と説明。同法の適用で最高刑が1.5倍となり、最高15年になるというのだ。「併合罪の成立で懲役10年。成立しない場合は8年」と予測した。
刑法
第47条(有期の懲役及び禁錮の加重)
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。第246条(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
裁判所はどうしてるのかについては、判例タイムズ1188に長井判事の論稿があります。
なぜかこんなところに送信可能化されています。
ttp://www.unafei.or.jp/referencematerials/135th/Japanese/IV/A/6.pdf
法務省がやることだから、まさか違法ではないと信じております。