建築基準法違反、建築士法違反幇助、議院証言法違反の控訴審判決(東京高裁H19.11.7)の評釈です。
併合罪関係にある2罪以上の罪の量刑を考えるにあたり,例えば詐欺罪と窃盗罪の併合罪であったとすれば,「詐欺の事案としては懲役○○年.窃盗の事案としては懲役○○年。両者を併合罪として処理するのであるから.合算年月数より減らして懲役○○年の求刑が妥当だろう。」という.いわば各事案の求刑を個別的に考慮して合算した後,併合審理による調整を図るという思考方法を探りがちだったように思われる。しかしながら,本判決は,併合罪として処理された各事案が互いに密接関連する事案である場合に,個別的な量刑を合算するのではなく,相方_の罪の関連を考察しつつ事案全体としての量刑を図るという思考方法を採っているように思われるところ.国民の素朴な量刑感覚は,個別的事案の量刑を合算して調整するなどというものであろうはずもなく,むしろ.「全体の事案として懲役○○年くらいが妥当」という思考であると思われることからしても,今後の実務に参考になると思われる。
法令適用としては併合罪加重した上限まで求刑したり宣告しても合法なんですが、実際の科刑(量刑不当にならない相当な量刑)はどうあるべきかという話です。