児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ罪では 処断刑期を決めずに量刑している

 僭越ながら言わせていただければ、量刑というのは、「再法併酌」といって、各犯罪事実を××罪と認定してから、再犯加重して、法律上の加減して、併合罪加重して、酌量減軽して、出てきた処断刑期の範囲でやるんですよ。

第72条(加重減軽の順序)
同時に刑を加重し、又は減軽するときは、次の順序による。
一 再犯加重
二 法律上の減軽
三 併合罪の加重
四 酌量減軽

 児童ポルノ罪の場合だと、1罪で長期5年ですが、

  1. 提供罪とか製造罪の事実をそれぞれ認定する。
  2. 再犯加重
  3. 法律上の減軽
  4. 併合罪の加重
  5. 酌量減軽

という段取り。
 このうち「併合罪加重」について、すなわち児童ポルノ罪の罪数については判例がないので、下級審はまちまちです。
 一罪なら5年、併合罪なら7年6月という差があって、再犯加重があれば2倍に広がる。ここまでは情状に関係なく決まる。
 
 そこから具体的事情に応じて、場合によっては酌量減軽して、刑を決めるのが量刑。
 
 児童ポルノ罪について罪数が決まっていないということは、裁判所が処断刑期が5年か7年6月かわからないので、手堅いところで「5年」ということでやっているということです。執行猶予付けておけばバレないだろう。
 罪数が決まらないというのは、保護法益とその侵害態様がわからないことです。

 奥村説は併合罪説ですが、煮え切らない裁判所に対する奥村弁護士の主張は、

  • わからないのにその先の量刑に進むな。罪数評価決めてから量刑しろ
  • 罪数も数えられないのに保護法益もわからないのに重い判決書くな(軽くしてくれ!)

ということです。