信用毀損罪では受理されましたが、上告受理でもなんでも当たらないかと思ってやってるだけです。
なお,比較的最近の「上告受理の申立て」の例としては,本稿の新潟少女監禁事件のほか,刑法233条の「信用」の意義に関する最高裁平成15年3月11日第三小法廷判決22)最三判平成15年3月11日刑集57巻3号293頁。(ただし,弁護人申立てであり,上告は棄却されている。),破産法374条3号の「商業帳簿」に電磁的記録が含まれるかどうかに関する最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決23)最三判平成14年1月22日刑集56巻1号1頁。,いずれも証券取引法のインサイダー取引規制に関する最高裁平成11年6月10日第一小法廷判決24)最一判平成11年6月10日刑集53巻5号415頁。,最高裁平成11年2月16日第三小法廷判決25)最三判平成11年2月16日刑集53巻2号1頁。がある。
中略
Ⅴ.おわりに
刑法の解釈に関しては,明治40年の同法制定以来ちょうど100年を経過し,その間に大審院判例,最高裁判例等を通じて,「法令の解釈に関する重要な事項」について判例が存しない事態は稀有であり,現に,検察官の「上告受理の申立て」は,最近では,その多くが特別法の解釈に関するものであった。その意味において,本件のような刑事基本法たる刑法の原始法条の解釈に関して,「上告受理の申立て」を行った本件は,稀有の事例といえよう。ともあれ,本件は,刑事裁判実務において日々生起する併合罪加重の根拠規定である刑法47条の解釈を確定させるという,まさに「正門」としての「上告受理の申立て」の制度趣旨に適う事例であったといえよう。
(ふるえ・よりたか)