児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童による児童ポルノ4項提供罪(不特定多数)・5項製造罪(不特定多数)

 これは児童が正犯で、男は共犯としか構成できない。
 撮って売ってるのは児童なのに、買った方は処罰されないという判例もあるのに。
 これを3項製造罪と評価するのは、単純所持罪を先取りしようとしてるようです。

少女に裸の画像送らせる 輪島署、男を書類送検
2008.06.07 北國新聞社
 調べでは、男性は昨年十一月から今年二月にかけて、携帯電話の出会い系サイトで知り合った千葉や岡山など県外に住む当時十五−十六歳の女子中高生に五千−一万五千円を送金する代わりに、携帯電話で女子中高生に自分の裸の写真などわいせつ画像を撮影、送信させ、携帯電話やパソコンなどに保存していた疑い。
 同署によると、石川県内の女子生徒が被害となる児童買春事件で摘発した男から押収した携帯電話に全国各地の女子中高生らから買い取ったとみられる児童ポルノが見つかったという。

 金沢支部判決によれば、児童に刑事責任が生じる余地はあって、有償でモデルになる程度では「被害者」だそうですが、自画撮りして販売している場合には製造犯人と言わざるを得ないですよ。

名古屋高裁金沢支部h17.6.9
(3)所論は,本件においては,被害児童が児童ポルノ製造に積極的に関与しており,共犯者であるのに,撮影者である被告人のみを処罰するのは不公平であり,憲法14条に違反するとする。しかし,本条の立法趣旨が,他人に提供する目的のない児童ポルノの製造でも,児童に児童ポルノに該当する姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為については,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値するというものであることからすると,児童は基本的には被害者と考えるべきである。そして,記録を検討しても,本件の被害児童が共犯者に当たるとすべきほどの事情は窺えず,また,被告人を処罰することが不公平で,憲法14条に違反するとも認められない。
2被害者の承諾による違法性が阻却されるとの所論について(控訴理由第6)
所論は,原判示第2の2の児童ポルノ製造罪について,被害児童の実勢な承諾・積極的関与があり,違法性を阻却するのに,児童ポルノ製造罪を認定したのは法令適用の誤りであるとする。しかし,法7条3項は,児童に法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真等に描写することにより児童ポルノを製造した者を罰する旨規定しており,その文言からしても,強制的に上記姿態をとらせることは要せず,被害児童が上記姿態をとること等に同意している場合を予定していると解されるし,上記の態様によって児童ポルノを製造することが,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならないとして児童ポルノ製造罪が創設された趣旨からしても,被害児童の同意によって,違法性が阻却されるとは解されない。また,記録を検討しても,被害児童に,違法性を阻却するほどの真筆な承諾,積極的関与があったとも認められない。