児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ティーンのセクスティングが日常化普遍化しつつある

 アメリカでは、撮って送った児童が処罰されるようです。児童保護法なのに。
 日本の判例では、奥村弁護人が、「アメリカでは、撮って送った児童が処罰される」と法廷で主張した結果、児童ポルノの個人的法益性が徹底していますので、送らせた方が製造罪になって、児童には製造・提供罪は成立しないことになっています(大阪高裁・東京高裁)。これでいいのだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120707-00008387-techcr-sci
白人の子どもがセクスティングを好む。セクスティングの常習者は、白人ティーンの35%に対し、アフリカン27%、ヒスパニック21%、アジア系19%、となる。白人はアジア系の倍近い。

全国的には数百万人のティーンが児童ポルノで有罪になると思われるが、しかし、まだそのための法律が整備されていない州もある(大人と未成年者との不純異性交遊を罰する州法は比較的普及しているが)。セクスティングの蔓延により一部の専門家は、好奇心旺盛なティーンたちが小児性愛者のレッテルを貼られないために児童ポルノ法の緩和を進言するという奇妙な立場に立たされている。


参考文献
ネット上の児童ポルノに関する擬律の混乱(sexting・ファイル共有・リンク)
奥村 徹

セクスティングとチャイルド・ポルノグラフィ
紙谷 雅子

一審判決:豊中簡易裁判所h21.6.25
控訴審判決:大阪高裁H21.12.3
 本件控訴の趣意は,弁護人奥村徹作成の控訴趣意書及び同補充書2通に各記載のとおりであるから,これらを引用する。
第1 控訴趣意中,理由不備ないし訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,原判決は,被告人が他人を利用して犯罪を実現した事実を認定しているが,その場合,間接正犯(本件のように是非分別能力を有する者を道具としたときは,その者が完全に道具と化していた旨の判示も必要である。)か共犯(共同正犯,教唆犯)のいずれかの法的構成によることになるにもかかわらず,この点について判示していないから,原判決には理由不備の違法ないし刑訴法335条に反する訴訟手続の法令違反がある,というのである。
 しかしながら,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下,単に「法」という。)7条3項は,児童に法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写するごとにより,児童ポルノを製造する行為について,これを処罰するものとしているところ,原判決は,被告人を本罪の共同正犯や教唆犯ではなく,単独犯と認定していることが明らかであるから,その罪となるべき事実には,法が規定する構成要件に該当する具体的な事実を記載することをもって足りるというべきである。
 そうすると,原判決には,この点に関する特定明示に欠けるところはなく,所論が指摘するような理由不備ないし訴訟手続の法令違反はない。また,間接正犯についていう点も,本件児童ポルノ製造罪の主体,すなわち正犯は被告人であって,「児童ポルノの姿態をとらせ」ることは製造の手段にすぎず,また,その写真を撮影,送信させたという事実は製造の方法であるから,この点についても原判決に所論が指摘するような理由不備ないし訴訟手続の法令違反はない。
 論旨は理由がない。
第2 控訴趣意中,訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,本件起訴状記載の公訴事実には,「同児童にその乳房,陰郎等を露出させる同表画像内容欄記載の姿態をとらせ」とあるが,それが実行行為でないとすれば,そのような趣旨不明な記載がある点で刑訴法256条5項に反し,また,それが法7条3項の実行行為でなく,岐阜県青少年健全育成条例23条2項の「わいせつな行為を教える」,又は同条1項の「わいせつな行為をし」の実行行為とすれば,1個の訴因に2罪の事実を含むことになり,訴因が不特定となり刑訴法256条3項に反するにもかかわらず,そのまま実体判断をした原審の審理には判決に影響することが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものと解される。
 しかしながら,法7条3項には,その犯罪構成要件として「児童に法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ」という行為要素が規定されており,公訴事実にはこれに該当する事実の記載が必要であるところ,本件公訴事実の別表画像内容欄にはその内容が具体的に明記されているのであるから,本件公訴事実の記載が,所論が指摘するような趣旨の不明な記載とはいえない。
また,本件公訴事実の記載に加え,本件起訴伏には,その罰条として法7条3項,1項,2条3項3号が明示されていることを併せ考慮すれば,訴因の特定に欠けるところがないことも明らかである。
 したがって,原判決には所論が指摘するような訴訟手続の法令違反はない。
 論旨は理由がない。
第3 控訴趣意中,法令適用の誤りの主張について
 論旨は,本件については,①岐阜県青少年健全育成条例23条2項の「わいせつな行為を教える」,又は同条1項の「わいせつな行為をし」に該当する条例違反の罪が成立するにすぎないのに,法7条3項の児童ポルノ製造罪の成立を認め,②(ア)被告人に,被害児童が正犯である法7条1項(提供罪)及び同条2項(提供目的製造罪)の教唆犯が成立し,同条3項の児童ポルノ製造罪に該当しないのに,同罪の正犯とし,(イ)仮に(ア)が認められないとしても,被害児童と被告人とは同条3項の児童ポルノ製造罪の共同正犯であるのに,被告人の単独犯とし,さらに,(ウ)被害児童の正犯性が否定されるとしても,被告人は教唆犯であるから共犯の従属性により不処罰であるのに,被告人を処罰した原判決には判決に影響することが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかしながら,①については,関係証拠によれば,原判示の犯罪事実を優に認めることができるから,本件について法7条3項の児童ポルノ製造罪が成立することは明らかである。
②については,同条各項の規定は,平成16年法律第106号による改正前の法に規定がなかったものであるが,旧法施行後の状況等にかんがみ,児童の権利の擁護を一層促進するため新たに犯罪化され,処罰の範囲が拡大されたものであるところ,対象となる行為は,いずれも法2条3項各号に掲げる児童の姿態を描写した児童ポルノを前提とするもので,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取・性的虐待行為にほかならず,しかも,不特定多数の者に対する提供(法7条4項)及びその目的での製造等(同条5項)の罪ではもとよりその流通が予定され,特定少数の者に対する提供(同条1項)及びその目的での製造等(同条2項)の罪では流通の危険性が大きく,他人に提供する目的を伴わない製造罪(同条3項)にあっては描写された児童の人権を直接侵害する行為であり,流通性は小さいものの,その危険性を創出するものであるから,このような行為が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長するごとになるため,児童を性的搾取・性的虐待の被害から擁護することを意図して上記各行為を処罰するものとしたのであって,当該児童は,原則的に,その被害者と位置付けられているというべきである。
そうすると,被告人が,携帯電話の下着売買募集のサイトで知り合った被害児童に対し,携帯電話のメールで,被害児童のポルノ画像を買い取る旨執ように働き掛けた上,指示して姿態をとらせた被害児童のポルノ画像を撮影・送信させて,自己の記録媒体に保存させたという本件について,(ア)の点は,被害児童が児童ポルノの提供(同条1項)及びその目的での製造(同条2項)の罪の正犯で,被告人はその教唆犯にすぎないとする点で,(イ)の点は,被害児童と被告人が他人に提供する目的を伴わない児童ポルノ製造罪(同条3項)の共同正犯であるとする点で、(ウ)の点は,被告人が教唆犯にすぎないという点で,いずれも誤っており,所論はいずれも採用することができない独自の見解というほかない。
 その他,所論が主張するところを検討しても,原判決には所論が指摘するような法令適用の誤りがあるとはいえない。
 論旨は理由がない。

東京高等裁判所平成22年8月2日
判決
被告人に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下,単に「法」ということがある。)違反被告事件について,平成21年12月25日静岡地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察宮田遵哲夫出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文本件控訴を棄却する。
理由
本件控訴の趣意は弁護人奥村徹作成の控訴趣意書及び控訴趣意補充書に,これに対する答弁は検察官田遵哲夫作成の答弁書に,それぞれ記載されているとおりであるから,これらを引用する。
そこで,当審における事実取調べの結果をも踏まえて検討する(以下,括弧内の丁数は,原審記録の丁数を示す。)。
第1各論旨に対する総括的な判断
1原判決が認定した罪となるべき事実
上記事実を適宜,要約して示す。
被告人は,被害児童(当時13歳)が,18歳に満たない児童であることを知りながら,平成24年7月7日,大阪市内の被害児童方において,同児童にその乳首を露出させる姿態をとらせ,これを同児童の携帯電話機附属のカメラにより静止画として撮影させた上,その画像(以下「本件画像」という。)を同児童の携帯電話機から被告人の携帯電話機に電子メール添付ファイルとして送信させ,そのころ,東京都内において,その画像データを被告人の携帯電話機により受信して同権に挿入されたマイクロSDカード内に記憶・蔵置させ,衣服の全部又は一部を着けない同児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記憶媒体に描写し,同児童に係る児童ポルノを製造した。
2論旨は,絶対的控訴理由(不法公訴受理,理由不備),訴訟手続の法令違反,法令適用の誤りである。
本件は,原審で争いがなく1回結審で直ちに判決(主刑は,52日の原審未決勾留日数のうち,その1日を2万円に換算して罰金額に満つるまでの分を算入することとされた罰金100万円である。)が言い渡された事件である。
このように所論は,原判決後に選任された当審弁護人による,原審では主張されていない事柄を主張するものであって原判決の判断を経たものではなく,所論に即して検討しても,いずれも理由がない。
以下,必要な範囲で補足して説明する。
第3 理由不備・訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤りの各論旨について
1
(1)所論(控訴趣意第2部・控訴理由第1)は,原判決は,被告人が他人を用いて犯罪を実現した事実を認定したが,その場合,間接正犯か共犯(教唆犯・共同正犯)のいずれかの法的構成によることとなるのに,それを判示していないから,理由不備又は訴訟手続の法令違反がある旨主張する。
 しかし,原判決は,対象児童の行為を介するなどして犯した被告人の単独犯行を認定・判示していると容易に看取できるものであるから,所論は,その前提において失当である。
2
{1)所論(控訴趣意第2部・控訴理由第3)は,法7条3項の「前項に規定するもののほか」という文言と趣旨を根拠に,本罪は,法7条2項,5項の児童ポルノ製造罪・(以下,便宜「目的製造罪」という。)が成立しない場合の補充規定であって,目的製造罪が成立するときには木罪は成立しないと解した上で,被害児童は,法7条1項の児童ポルノ提供罪と同条2項の児童ポルノ製造罪の正犯であり,被告人にはその教唆犯が成立するから,原判決には被告人を木罪の単独正犯とした点に法令適用の誤りがある旨主張する。
(2)
ア しかし,目的製造罪に加えて本罪が設けられたのは,控訴趣意書54頁等でも指摘しているとおり,他人に提供する目的を伴わない児童ポルノ製造であっても,被害児童に法2条3項各号に掲げる児童ポルノに該当する姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為は,強制によるものでなくても,被害児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値し,可罰性があると解されたところにあるといえる。
したがって,法7条3項の「前項に規定するもののほか」という文言は,法7条1項で定める児童ポルノの提供,児童のポルノを記録した電磁的記録その他の記録を提供することを行う目的がある場合以外であることを示すのにとどまり,本罪が目的製造罪の補充規定であることまで意味するものではない。
イ 所論は,他人をして「描写させた者」は本罪の製造者に含まれないなどと主張するが(控訴趣意書58〜9頁),合理的な根拠に基づくものとはいえない。
ウ 所論は,いずれも採用できない。
3 この説明からして,所論(控訴趣意第2部・控訴理由第2)の理由のないことも明らかである。
補足すると,所論は,本件のように,強要がなく,○○県居住の児童にわいせつな姿態をとらせる行為は,適用する国法がなく,静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例違反の罪のみが成立するのにすぎないのに,原判決は,本罪を適用した点で,法令適用の誤りがある旨主張する。しかし,所論も控訴趣意書の他の箇所(控訴趣意書10頁等)で指摘しているとおり,本罪の「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,児童が一定の姿態をとるに至ったことをいい,強制によることを要しないと解されるから,所論はその前提において失当であって,前記罪となるべき事実に本罪を適用した原判決に誤りはなない。
4
(1)
①所論(控訴趣意第2部・控訴理由第4,控訴趣意補充書)は,原判決の認定事実を前提としても,被害児童(ただし,訴追を求めるまでの趣旨ではない。)と被告人とは本罪の共同正犯であるのに,被告人の単独正犯と認定した原判決には法令適用の誤りがある旨を,
②また,所論(控訴趣意第2部・控訴5理由第5)は,被害児童は法7条1項の児童ポルノ提供罪と同条2項の同製造罪の正犯又は本罪の正犯であり,被告人はその教唆犯であるが,本罪の個人的法益を重視して被害児童白身が撮影する場合には被害児童の自損行為であって正犯とならないから,共犯の従属性に従うと,教唆犯である被告人も処罰されないはずであるのに,被告人を単独正犯と認定した原判決には法令適用の誤りがある旨を,それぞれ主張する。
(2)しかし,本件では,被害児童の行為が被告人によって利用された部分があるとしても,それは,「姿態をとらせ」といった構成要件に沿うものである。また,前記原判示の罪となるべき事実中,被告人が被害児童の姿態を電磁的記録媒体に描写する過程で被害児童による撮影や送信という行為が介在しているのも、犯罪構成要件である「描写」の手段・方法を原判決がより具体的に説示したことによるものであると解され(答弁書2頁も同趣旨の指摘をする。),しかも,被害児童がそのような行為をしたのは,後記のとおり,児童ポルノの製造という真意を秘した被告人が,甘言を弄して判断能力の未熟な被害児童を錯誤に陥れたためであるから,被告人が本罪の単独正犯であることに疑問が生じることにはならない。そうすると,被害児童に,法7条1項の児童ポルノ提供罪,同条2項の同製造罪及び本罪が成立するとの所論は,訴因外の事実を独自に主張することに帰し,失当である。
5
(1)所論(控訴趣意第2部・控訴理由第6)は,原判決は,被害児童の意思が抑圧されていない場合に,被害児童を利用した間接正犯としている点で,法令適用の誤りがある旨主張する。
しかし,間接正犯の成立を被利用者の意思が抑圧された湯合に限るという所論は,独自の見解や立論による主張であって,採用の限りでなく,原判決の事実認定が不当となるものではない。
(2)関連する所論にもここで説明しておくと,所論(控訴趣意書39.46頁等)は,本件は間接正犯と理解されるが,被害児童は道具となった事実はないなどとも主張する。しかし,被告人は,平成24年7月,携帯電話のサイトを通じて知り合った被害児童に対し,児童ポルノの製造という真意を秘して,メールや電話を通じて,グラビアのモデルの仕事であるなどと甘言を弄し,被害児童に乳首等を露出させる姿態をとらせ,その写真を撮影して送信するように働き掛けているから(25−1〜10,12〜8,68〜94.110〜7丁),同児童の判断能力の未熟さにつけ込み,同児童を錯誤に陥れた上で上記行為をさせたものといえる。所論はその前提において採用できない。
①被害児童が,本件後に,被告人に騙されているのではないか,裸の写真がインターネットに出されて悪用されるのではないかなどと不安になって学校の先生に本件を相談したこと,
②被告人は,被害児童から母親に相談したと聞かされると,その後,同児童との連絡を断ったことは,上記判断を裏付けるものである。
6 所論(控訴趣意第2部・控訴理由第7)は,仮に被告人を本罪の正犯としても,被害児童には少なくとも本罪の幇助罪の責任があるのに,これを認めなかった原判決には,法令適用の誤りがある旨主張する。
しかし,被告人以外の者に幇助犯が成立しても原判決の法令適用が誤りとなるわけではないから,所論は主張自体失当である。
念のために付言すれば,これまでの説明かちも明らかなように,被害児童は,児童ポルノの製造という真意を秘した被告人の甘言によって錯誤に陥り,法2条3項3号に掲げる児童ポルノに該当するような姿態をとらせられ,その児童ポルノを製造された本罪の被害者であって,本罪の幇助犯に当たらないことは明らかである。
第4 結論
よって,刑事訴訟法396条により本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。
平成22年8月2日東京高等裁判所第7刑事部
裁判長裁判官 植村立郎