児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ罪とわいせつ図画罪の罪数処理が不明な事例(横浜地裁H14)

 わからなかったんだろう。
 調書判決だからごまかした?
 原則からいえば併合罪なんだろうか?

横浜地裁H14
第1
2ヶ月間に6回 
2号児童ポルノかつわいせつビデオ4巻
3号児童ポルノビデオ2巻
わいせつビデオ2巻
合計12巻を販売した
第2
2号かつわいせつビデオ1巻
3号 かつわいせつ1巻
わいせつ73巻
を所持した
法令適用
刑法175
児童ポルノ
(罪数処理の記載がない。単純一罪か?観念的競合も併合罪もない)

追記
 児童ポルノ提供とわいせつ図画販売と児童ポルノ所持とわいせつ図画所持の4罪あってどういう操作で処断刑期を求めたのがわからない。

司法研修所 編「刑事判決書起案の手引」法曹会 平成17年版
第1 法令の適用の意義及び根拠
1 第1に,法335条の要請として,「罪となるべき事実」に記載された被告人の所為がいかなる犯罪を構成するか,そしてそれに基づきどのようにして処断刑が形成されたかを,法条を示して,読む者が理解できる程度に説明しなければならない。
(略)
第2 法令適用の形式一般
1 文章式と羅列式
法令の適用を示す方法としては,文章体をもってする文章式と条文の列挙を中心とする羅列式・列挙式とがある。かつては文章式のみが行われたが,近ごろでは後者の方式もかなり採用されている。羅列式は記載が簡単で便宜であり,複椎な法令適用関係を図表に似た形式で表現できる長所を有するが,その反面,まだ型が確立していないため,ときとして表現が不十分となり,必要な事項を脱落し,場合によっては理由不備(法378④)ないし法令適用の誤り(法380)を来す危険を含んでいる。
羅列式は,しばしば単に関係条文を列挙するだけのもののように誤解されているが,そうであってはならない。法335条1項は「法令の適用を示す」ことを要求しているのであって,結論的に単に「適用した法令」(法464参照)を示せば足りるとしているわけではないのである。法令がどのような経路で適用されたかを示すことが必要なのであって,この二つの方式はただそれを表現する形式の差にすぎず,特に羅列式についてその必要が免除されるわけではない。したがって,羅列式においても単に条文を列挙するだけでなく,適宜小見出しを利用したり,括弧を用
いたりするなどの方法で必要な説明(何が必要かは,以下の各項によっておのずから明らかとなろう。)をしておかなければならない。
2 法令適用の順序
(1)法令の適用は,一般に次の順序による。特に刑法72条に定める加減の順序に反しないように注意しなければならない(もとより次の諸事項中ア,ク以外は,常に問題となるわけではない。)。
ア 構成要件及び法定刑を示す規定の適用
イ 科刑上の一罪の処理
ウ 刑種の選択
工 累犯加重
オ 法律上の減軽
併合罪の加重
キ 酌量減軽
ク 宣告刑の決定
(2)法定刑にイないしキの加重・減軽等の操作を経て得られた刑を処断刑といい,宣告刑は,その処断刑の範囲内で決定される。