新法を形式的に適用していくと、何罪なのか判らなくなりますね。
陳列罪で起訴されても、ヒョイヒョイ訴因変更されるかもしれない。
他人が撮影した児童ポルノ画像データを持っているとして、
web掲載目的を生じた時から、陳列目的所持罪(5年)+保管罪(5年)
サーバーにupすると、特定人への提供罪(7条1項 懲役2年)
サーバーに記憶されるとサーバーが児童ポルノになるから、陳列目的製造罪(5年)(前橋地裁H131227参照)
サーバー上に新規に児童ポルノデータを保管するから、保管罪(5年)
サーバーが不特定多数から閲覧可能になると、陳列罪(5年)。
dlさせると提供罪(5年)(名古屋簡裁説)。
東京高裁H15原田判決によれば、以上は併合罪ですから、処断刑の上限は7.5年になる可能性がある。罪数がこれだけ増えると量刑も重い、累犯なら悲惨。
立法技術的にみれば、擬律がばらつくのは司法の信頼失いますから、web掲載罪を設けるのがよいと思います。法定刑は5〜7年程度。
前橋地裁H131227調書判決(実刑)
被告人は,甲(昭和60年2月21日生,当時16年)及び乙(昭和59年11月6日生,当時16年)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,インターネット上のホームページの掲示板に公然陳列する目的をもって,平成13年9月17日ころから同年10月1日ころまでの間,の被告人方等において,上記児童らを相手とする性交又は性交類似行為の場面等をデジタルカメラで撮影した上,これをパーソナルコンピュータを使用して記憶,蔵置させた画像を加工,編集するなどして上記ホームぺ−ジのサーバーコンピュータに送信して記憶,蔵置させ,よって,児童を相手とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態等を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノ画像データ10画像を製造したものである。
新法=現行法
(児童ポルノ提供等)
第七条 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6 第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。