研修誌で知りました。不同意性交罪を否定する主張が出ました。
当職の方は、12歳との児童買春罪について、捜査段階で13歳未満とは知らなかったという弁解を通して児童買春罪だけで略式起訴された事件につき、「12歳では対償供与約束能力がなく児童買春罪は成立しないので、不同意性交罪(177条3項)のみが適用されて、13歳未満とは知らなかったので無罪になる。」という主張をしています。上告中
福岡高裁の言うように「判断能力の未熟な16歳末満の年少者を保護するためであって、その未熟さゆえに目先の金欲しさに性交等に走ってしまう年少者を、金目当てではない年少者と区別し、その保護対象から除外する理由など全くない。」というのであれば、児童買春罪ではなく不同意性交罪だけを適用すればいいことになるんじゃないかな
研修(令7.1 月,第919号)判例紹介被告人が、対償を得ることで性交等をさせることを明確かつ積極的に同意している16歳未満の被害児童と性交した場合であっても、刑法177条3項、1項規定の不同意性交等の罪及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条、2条2項1号規定の児童買春罪が成立する旨判示した事例
(福岡高判令和6年5月17日)
第1 事案の概要及び争点等
本件は、同種前科により刑の執行猶予中の被告人本件は、同種前科により刑の執行猶予中の被告人(当時49歳)が、令和5年8月11日、ラブホテルにおいて、インターネット上で知り合った被害児童(当時13歳)が16歳未満であり、かつ、その生まれた日よりも5年以上前に自身が生まれたことを知りながら、現金1万円の対償の供与を約束して、被害児童と性交し、もって児童買春するとともに16歳未満の者に対し性交等をしたという事案である。第2 本判決の要旨
弁護人Bは、16歳未満の者と性交しても、その者が対償を得ることで性交等をさせることを明確かつ積極的に同意している場合、刑法177条3項、1項の不同意性交等罪は成立せず、これと特別法の関係にある児童買春の罪しか成立しないため、不同意性交等罪を適用した第一審判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあると主張した。
しかし、本判決は、「(刑法177条3項)の規定から明らかなとおり、16歳未満の者に対する不同意性交等の罪が成立するのに、所論がいうような限定は加えられていない。いわゆる性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたのは、複雑な社会情勢の中で、判断能力の未熟な16歳末満の年少者を保護するためであって、その未熟さゆえに目先の金欲しさに性交等に走ってしまう年少者を、金目当てではない年少者と区別し、その保護対象から除外する理由など全くない。また、児童買春の罪と不同意性交等の罪は、前者が成立すれば後者の成立が排除されるという関係にもない。」と判示し、前記弁護人の主張を排斥した。