児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春した事例(京都地裁r05.7.13)

18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春した事例(京都地裁r05.7.13)
 児童買春周旋罪は引き合わせれば既遂。
 提供目的製造罪は、数回行われても児童ごとに一罪となっています。

京都地方裁判所
令和05年07月13日
主文
被告人を懲役2年及び罰金200万円に処する。
未決勾留日数中60日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは、1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は
第1 別紙記載の被害児童A及び別紙記載の被害児童Bが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年6月4日午前11時02分頃から午後0時34分頃までの間に、F市G区(以下略)H201号室において、被害児童A及びBに対し、それぞれ現金1万円の対償を供与する約束をして、被害児童A及びBと性交し(令和4年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第1)、
第2 業として
 1 被害児童A及び被害児童Bが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年6月4日午後0時34分頃から午後0時39分頃までの間に、F市G区(以下略)H201号室において、I、J、K、L、M及びNから被害児童A及びBと性交等をさせることの対償としてそれぞれ現金3万円を受ける約束の下、被害児童A及びBをI、J、K、L、M及びNに引き合わせ、
 2 別紙記載の被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年7月1日午後1時41分頃から午後3時50分頃までの間に、F市O区(以下略)Q417号室において、L及びNから被害児童Cと性交等をさせることの対償としてそれぞれ現金3万円を受ける約束の下、被害児童CをL及びNに引き合わせ、
 3 別紙記載の被害児童Dが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年8月12日午後3時12分頃から午後5時12分頃までの間に、R市S区(以下略)Tにおいて、Mから被害児童Dと性交等をさせることの対償として現金約5万円を受ける約束の下、被害児童DをMに引き合わせ、
 4 被害児童C及び被害児童Dが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年8月15日午後3時09分頃から午後6時45頃までの間に、F市aa区(以下略)abビル403号において、ac、ad、J、K及びNから被害児童C及びDと性交等をさせることの対償として現金を受ける約束等の下、被害児童C及びDをac、ad、J、K及びNに引き合わせ、
 5 被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年8月19日午後4時頃から午後7時頃までの間に、Q417号室において、ae、J、N及びMから被害児童Cと性交等をさせることの対償としてそれぞれ現金3万円を受ける約束の下、被害児童Cをae、J、N及びMに引き合わせ、
 6 被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年9月4日午後2時11分頃から午後3時27分頃までの間に、Q内において、J及びNから被害児童Cと性交等をさせることの対償としてそれぞれ現金3万円を受ける約束の下、被害児童CをJ及びNに引き合わせ、
 7 被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年9月21日午後2時24分頃から午後2時42分頃までの間に、Q301号室において、adから被害児童Cと性交等をさせることの対償として現金約2万4500円を受け、被害児童Cをadに引き合わせ、
 8 別紙記載の被害児童Eが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年9月24日午後7時30分頃から午後8時30分頃までの間に、R市af区(以下略)ag105号において、adから被害児童Eと性交等をさせることの対償として現金2万円を受け、被害児童Eをadに引き合わせ(令和5年5月1日付け訴因変更請求書により変更後の令和4年11月22日付け起訴状記載の公訴事実及び令和4年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第2)、
第3 被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和4年6月6日午前9時26分頃から午前11時27分頃までの間に、F市ah区(以下略)ai502号室において、被害児童Cに対し、現金2万円の対償を供与する約束をして、被害児童Cと性交し(令和5年2月20日付け起訴状記載の公訴事実第1)、
第4 被害児童Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、他人に提供する目的で、別表1記載のとおり、令和4年6月6日午前10時05分頃から8月19日午後6時26分頃までの間に、ai502号室ほか2か所において、被害児童Cの性器が露出した姿態等を被告人が使用するスマートフォン2台で撮影し、その静止画データ12点及び動画データ8点をスマートフォン2台の内臓記録装置に記録させて保存し(令和5年2月20日付け起訴状記載の公訴事実第2)、
第5 被害児童Dが18歳に満たない児童であることを知りながら、他人に提供する目的で、別表2記載のとおり、令和4年8月16日午後1時57分頃から午後5時48分頃までの間に、abビル403号において、被害児童Dの乳房が露出した姿態等を被告人が使用するスマートフォン2台で撮影し、その静止画データ5点及び動画データ1点をスマートフォン2台の内臓記録装置に記録させて保存し(令和5年2月28日付け起訴状記載の公訴事実)
たものである。
(証拠の標目)
(法令の適用)
罰条
 第1、第3の各行為 いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条、2条2項1号
 第2の行為 同法5条2項、2条2項2号
 第4、第5の各行為 いずれも同法7条3項前段、2項前段、2条3項1号、2号、3号
刑種の選択
 第1、第3ないし第5の各罪につき いずれも懲役刑を選択
併合罪加重 懲役刑につき刑法45条前段、47条本文、10条(重い第2の罪の刑に加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
労役場留置 刑法18条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 被告人は、18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春にも及んでおり、被害児童の数や頻度等からして性的搾取の程度が相当に大きいこと、被害児童らの心身の健全な成長に深刻な悪影響を与えると懸念されること等からすると、その刑事責任は軽くない。
 そうすると、各事実を認めて反省の態度を示していること、古い罰金前科以外に前科がないこと、父親が今後の監督を誓っていること、10万円の贖罪寄付をしたこと、二度と法を犯すようなことはしないと述べていること等の被告人に有利な事情を考慮しても、その被害の大きさ等からすると刑の執行を猶予するのは相当ではなく、主文の実刑はやむをえない。
(求刑 懲役4年及び罰金200万円)
第3刑事部
 (裁判官 村川主和)