児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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対償供与約束能力 10~12歳との児童買春事件

 裁判例をみると、10歳で対償供与約束能力を認めるようですが
 性行為の意味を理解しないと、性交等の対価というのも理解できないと思うので、刑法の性的承諾能力(13歳)とは別個に観念できるのでしょうか?
 10歳とか12歳とかに、対償供与約束能力を認めて、性的承諾能力を認めないというのは矛盾です。

 どうせ、6歳児童に「飴ちゃんやるから体触らせて」というのは、不同意わいせつ罪しか立てないわけです。
 この辺は、児童買春罪ではなくて、不同意性交罪(177条3項)のみを検討すればいいと思います。


 児童との約束の解釈については、通常の意思表示と同様で、意思能力の問題とか錯誤とか取消とかがありえるという解釈です。
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阪高裁令和5年2月2日宣告 
 所論は、対償供与約束の存否は、外形から客観的に判断すべきところ、1万円以上を交付する旨の被告人の申し出については、被害児童が断って白紙に戻ったから、両名の間に対償供与の約束は成立していないと主張する。しかしながら、外形から客観的に判断するとの趣旨は、所論がいうように発言内容を分断して個別にその意味を確定することではなく、表示内容と異なる内心などの主観面によって認定が左右されないとの意味で、一般的な意思表示の解釈や認定と同様、外部への表示内容を社会通念に従って合理的に解釈して対償供与約束の成否やその内容を認定することは当然に許容される。本件においては、被告人からの対償供与の申し出に、いったん、被害児童から消極的な返答のメッセージが送られたのは、やりとりの一局面にすぎず、その後もやりとりは途切れずに続いており、これらを含めた一連の経緯からすると、本件性交の時点で対償供与約束があったと客観的に判断できることは前述のとおりである。
 所論は、被害児童において、被告人と会うときには性交までする約束はなかったと供述している(原審甲5)ことを指摘し、対償供与約束が認められるとしても、その対象の範囲は、性交類似行為までで、性交についての対償供与約束は成立していないとも主張するが、本件性交について被告人が被害児童の同意を得た時点で、これが対償供与の下に行われるとの約束が成立したものと認められるのは前記のとおりで、それ以前の時点での約束内容についての証拠関係が上記認定を左右することはなく、この点の主張も採用できない。
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  地裁   H17.9.29 (罪となるべき事実)
 被告人は、平成17年2月26日、東京都渋谷区〈以下省略〉所在のホテル「b」において、A(当時12歳)が18歳未満であることを知りながら、同児童に対し、現金1万円の対償を供与する約束をして、同児童と性交し、もって児童買春をしたものである。
12歳
地裁 四日市 H23.1.7 (犯罪事実)
 被告人は,■(当時12歳,平成■年■月■日生)が18歳に満たない児童であることを知りながら,
第1 平成22年10月12日午前10時46分ころから同日午後1時11分ころまでの間,三重県三重郡<以下略>所在のホテル「a」α号室において,上記児童に対し,現金1万5000円を対償として供与する約束をして上記児童と性交し,児童買春をした。
12歳
名古屋 高裁   H23.5.11 所論は,判示第1の事実に関し,13歳未満の者には性交等を有効に承諾する能力がなく,対償供与の約束は成立し得ないから,本件においても,当時12歳の被害児童との間に対償供与の約束は成立しておらず,したがって児童買春罪は成立しない,という。しかし,法が児童の承諾のあった性交等を処罰することとしているのは,児童が心身ともに未熟であることから,その承諾そのものを問題視して児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童の権利を擁護するためであり,法は性交等の承諾を与える児童の能力が完全でないことを当然の前提としているのである。また,刑法176条後段及び177条後段は,性的知識に乏しい年少者を特に保護する趣旨で,13歳未満の者に対しては,同意の有無を問わず,かつ,暴行脅迫を用いないでも強制わいせつ罪,強姦罪が成立することとしているのであり,児童買春罪の成立を認めるに当たって,これらの規定が13歳未満の者について対償供与の約束が成立したとの事実を認める妨げとなるものではない。所論は失当である。 12歳
神戸 地裁 尼崎 H26.7.29 第5 D(当時10歳),B及び家出をしてA方に寝泊まりしていたI(Iは当時の姓。平成10年○月○○日生,当時15歳。以下「I」という。)がそれぞれ18歳未満であることを知りながら,前記各児童に対する性交等の周旋をしたAに対し,あらかじめ現金合計5万円の対償を供与する約束をした上,平成25年10月6日,兵庫県尼崎市(以下略)所在の××東側階段において,
 1 自己の性的好奇心を満たす目的で,Dの陰部を触り,
 2 Iに自己の陰茎を口淫させる性交類似行為をし,
 3 Bに自己の陰茎を口淫させる性交類似行為をし,さらに同所において同人と性交し,
 もって,それぞれ児童買春をした。
10歳
水戸 地裁   H28.9.12 (罪となるべき事実)
 被告人は,
 第1 A(○年○月○日生,当時11歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら,
  1 平成27年10月4日午後2時10分頃から同日午後4時43分頃までの間に,茨城県ひたちなか市〈以下省略〉付近駐車場に駐車中の自動車内において,Aに対し対償としてiPod touch(ポータブルオーディオプレーヤー)1台を供与して,Aに自己の性器を口淫させるなどの性交類似行為をし,もって児童買春をするとともに,13歳未満の女子に対しわいせつな行為をし,
11歳
名古屋 地裁   R1.12.5 (罪となるべき事実)
 被告人は,A(別紙記載。当時12歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら,平成31年3月9日午前2時15分頃から同日午前3時13分頃までの間に,愛知県大府市〈以下省略〉aホテル217号室において,Aに対し,約1万3000円相当のチケット代金等の支払を対償として供与する約束をして,Aと性交及び口腔性交をし,もって児童買春をするとともに,13歳未満の者に対し,性交等をしたものである。
12歳
前橋 地裁   R2.4.16 第3 被告人は,■(以下「C」という。当時12歳)が13歳未満の者であること及び18歳に満たない児童であることを知りながら,
1(令和元年12月3日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 同児童と性交等をしようと考え,令和元年8月15日午前11時44分頃から同日午後3時33分頃までの間,宇都宮市δ××××番地×g×××号室において,同児童に対し,ホテル代を含めた現金2万円の対償を供与する約束をして,同児童と性交等をし,もって児童買春をするとともに13歳未満の者に対し,性交等をし
12歳