児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

便所に侵入して用便中の小学生を盗撮した事案で、ひそかに製造罪と迷惑条例違反(盗撮)の両罪を認めた事例(東京地裁R3.9.8)

便所に侵入して用便中の小学生を盗撮した事案で、ひそかに製造罪と迷惑条例違反(盗撮)の両罪を認めた事例(東京地裁R3.9.8)
 国法の重い罪があるんだから、条例(軽い)は適用されないのではないか。

建造物侵入,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反,児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,窃盗被告事件
東京地方裁判所判決令和3年9月8日
【判示事項】 小学校の教員である被告人が,小学校内において,女子児童の運動靴,体操服等を窃取し,女子便所内に侵入し,便所内に設置した小型カメラで,女子児童の臀部等を撮影して,マイクロSDカードに記録,保存して児童ポルノを製造するなどした事案。裁判所は。被告人の犯情は重く,刑事責任は厳しく追及されるべきであるが,窃盗にかかる女子児童側と示談をし,女子児童側からは被告人を許すとの意向が示されていること,盗撮に関し贖罪寄付をしていること,性依存症の克服に向けて医療機関に通院をし始めていること,教員の資格を失う見込みであることなどを考慮し,懲役1年6か月,執行猶予4年に処した事例

 【犯罪事実】
第3 被告人は,用便中の小学生女子児童の姿態を撮影する目的で,令和3年3月19日午後0時頃,本件小学校校長が看守する本件小学校3階西側女子便所内にその出入口から侵入した上,同日午後0時9分頃から同日午後0時38分頃までの間,同所において,同便所を18歳に満たない女子児童が利用することを知りながら,同便所を利用したいずれも本件小学校の女子児童であるA,B,C及びD(いずれも当時12歳)に対し,ひそかに,同便所内に設置していた動画撮影機能付き小型カメラを使用し,用便のため着衣を脱いだ前記4名の臀部等を動画撮影し,その動画データを同カメラに内蔵したマイクロSDカードに記録させて保存し,もって,便所における人の通常衣服で隠されている身体等を写真機その他の機器を用いて撮影し,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような行為をするとともに,ひそかに,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造した。

 【法令の適用】
 被告人の判示第1及び第2の行為はいずれも刑法235条に,判示第3の行為のうち,建造物侵入の点は刑法130条前段に,被害者4名に対する盗撮の点は,いずれも公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例8条2項1号,5条1項2号イに,同被害者4名に対する児童ポルノ製造の点は,いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項,2項,2条3項3号に,判示第4の行為のうち,建造物侵入の点は刑法130条前段に,写真機等差向けの点は,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例8条1項2号,5条1項2号イにそれぞれ該当する。判示第3の建造物侵入と各盗撮及び各児童ポルノ製造の間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,刑法54条1項後段,10条により結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重い被害者Cに対する児童ポルノ製造罪の刑で処断する。判示第4の建造物侵入と写真機等差向けの間には手段結果の関係があるので,刑法54条1項後段,10条により1罪として重い建造物侵入罪の刑で処断する。判示各罪の所定刑中いずれも懲役刑を選択する。以上は,刑法45条前段の併合罪であるから,刑法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重をする。その刑期の範囲内で被告人を懲役1年6か月に処する。情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
(求刑 懲役1年6か月)
  令和3年9月8日
    東京地方裁判所刑事第7部
           裁判官  浅香竜太