児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ罪(176条後段)と3項製造罪は観念的競合(神戸地裁尼崎支部H26.7.30)

 保管検察官は閲覧を渋っていましたが、判例秘書に出ました
 被告人は女性なので、強制わいせつ罪につき性的傾向が要件になるはずで、強制わいせつ罪は成立しないのですが、弁護人はなにも指摘していません。強制わいせつ罪については無罪になるはずなので、控訴すべき事案でした。

強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,児童福祉法違反被告事件
神戸地方裁判所尼崎支部判決平成26年7月30日

(罪となるべき事実)
第1 被告人は,A(以下,「A」という。)と共謀の上,被告人の娘であるB(平成11年○○月○○日生,当時13歳。以下,「B」という。)及び家出をして被告人方に寝泊まりしていたC(平成11年○月○日生,当時14歳。以下,「C」という。)がそれぞれ18歳未満であることを知りながら,平成25年4月6日,兵庫県西宮市(以下略)□□西宮店において,B及びCに乳房を露出した姿態をとらせ,Aが,デジタルカメラを用いてその状況を動画として撮影し,その動画データ3画像を,デジタルカメラに装着した電磁的記録に係る記録媒体であるSDカードに記録させて保存し,もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
第2 被告人は,Aと共謀の上,被告人の娘であるD(平成15年○月○○日生,当時9歳。以下,「D」という。)が13歳未満であることを知りながら,平成25年4月21日,同市(以下略)◇◇西宮今津店において,Dの胸部,陰部等を露出した姿態をとらせ,Aが,デジタルカメラを用いてその状況を動画として撮影し,その動画データ10画像を,デジタルカメラに装着した電磁的記録に係る記録媒体であるSDカードに記録させて保存し,もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をするとともに,衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
第3 被告人は,Aと共謀の上,D及び同じく被告人の娘であるE(平成20年○月○○日生,当時5歳。以下,「E」という。)がそれぞれ13歳未満であることを知りながら,平成25年4月23日,兵庫県尼崎市(以下略)所在の当時被告人が借りていた△△103の居室内において,D及びEの下半身を裸にして,その陰部を露出する姿態をとらせ,デジタルカメラを用いてその状況を動画として撮影し,その動画データ5画像を,デジタルカメラに装着した電磁的記録に係る記録媒体であるSDカードに記録させて保存し,もって13歳末満の女子に対し,わいせつな行為をするとともに,衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。

(法令の適用)
 被告人の判示第1の所為は包括して刑法60条,平成26年法律第79号附則2条により同法による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「改正前児童買春・児童ポルノ等処罰法」という。)7条3項,1項前段,2条3項3号に,判示第2の所為のうち,強制わいせつの点は刑法60条,176条後段に,児童ポルノ製造の点は刑法60条,平成26年法律第79号附則2条により改正前児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項,1項前段,2条3項3号に,判示第3の所為のうち,強制わいせつの点は被害者ごとに刑法60条,176条後段に,児童ポルノ製造の点は包括して刑法60条,平成26年法律第79号附則2条により改正前児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項,1項前段,2条3項3号に,判示第4の1の所為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童買春・児童ポルノ等処罰法」という。)5条1項に,第4の2及び3の各所為のうち,児童買春周旋の点はそれぞれ児童買春・児童ポルノ等処罰法5条1項に,児童に淫行させた点はそれぞれ児童福祉法60条1項,34条1項6号に,判示第5の所為は刑法60条,176条前段に該当するところ,判示第2の各罪,第3の各罪並びに第4の2及び3の各罪は,それぞれ1個の行為が2又は3個の罪名に触れる場合であるから,刑法54条1項前段,10条により,1罪として,判示第2の各罪については重い強制わいせつ罪の刑で,判示第3の各罪については刑及び犯情の最も重いEに対する強制わいせつ罪の刑で,判示第4の2及び3の各罪についてはそれぞれ重い児童に淫行させた罪の刑で処断することとし,判示第1及び第4の1ないし3の各罪につきそれぞれ所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第5の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役7年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中170日をその刑に算入することとし,訴訟費用については刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(求刑 懲役8年)
  平成26年8月1日
    神戸地方裁判所尼崎支部
        裁判長裁判官  飯畑正一郎
           裁判官  堀部麻記子
           裁判官  田原綾子