児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

KOSUZOでは「自己の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合はハードディスク(有体物)の所持罪に該当する」とされているのに、被告人方で被告人が所有する外付けHDDに保存していたのを児童ポルノ電磁的記録頒布目的保管罪とした事例(名古屋地裁H30.11.5 被告人控訴)

 
 児童ポルノ兼わいせつHDDを手元に置いていた場合は、「児童ポルノを保管し、わいせつ電磁的記録を保管した」というべきですね。

平成30年11月5日宣告 
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)違反,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
判    決
理    由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 ひそかに製造罪
第2 不特定多数の者に有償で頒布提供する目的で,平成31年2月23日,被告人方において,記録媒体である外付けハードディスクに,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノであり,かつ,女児の性器を露骨に撮影したわいせつな画像データを記録した電磁的記録2点及び同児童ポルノであり,かつ女児の性器を露骨に撮影したわいせつな画像データを記録した電磁的記録40点を保管したものである。
(法令の適用)
罰条
罰条
 判示第2の事実中
  児童ポルノ電磁的記録頒布目的保管の点につき
          児童ポルノ法7条7項後段,6項,2条3項3号
  わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管の点につき
          刑法175条2項
科刑上1罪    刑法54条1項前段,10条
  (判示第2につき1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,1罪として重い児童ポルノ電磁的記録頒布目的保管罪の刑で処断)
刑種の選択    いずれも懲役刑選択
(検察官西村恵三子,私選弁護人奥村徹出席)
(求刑 懲役2年)
  平成30年11月5日
    名古屋地方裁判所刑事第6部
                裁判官 田邊 三保子

KOSUZO 2017年 12月号 Vol.8 No.093
生活安全
Q31 次は、児菫買舂、児菫ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児菫の保護等に関する法律に定める自己の性的好奇心を満たす目的による児菫ポルノ所持(保管)罪(以下「所持(保管)罪」)についての記述であるが、誤りはどれか。

(1)児童ポルノの「所持」とは、有体物(写真、DVD・ハードディスク(記録媒体)等)である児童ポルノを、自己の事実上の支配下に置くことをいう。
(2)電磁的記録の「保管」とは、電磁的記録を第三者の実力支配内に置いておくことをいう。
(3)「自己の性的好奇心を満たす目的」については、所持の態様、分量、所持している対象の内容等の客観的事情からの推認により立証される。
(4)所持(保管)罪が成立するためには、児童ポルノであることを認識し、かつ、所持(保管)について認容している必要がある。
(5)所持(保管)罪が成立するためには、「自己の意思に基づいて所持(保管)するに至った」ことの立証が必要である。
・・・・・・・・・・・・


A31 自己の性的好奇心を満たす目的による児童ルノ所持(艫)罪 答え(2)
(2)×
電磁的記録の「保管」とは、電磁的記録を「自己」の実力支配内に置いておくことをいう。具体的には、当該電磁的記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存したり、自己が自由にダウンロードすることができるネットワーク上の記録媒体に保存する行為がこれに当たる(これに対し、自己の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合はハードディスク(有体物)の所持罪に該当する)。

(3)○枝文のとおり。
(4)○メールで児童ポルノを送り付けられた場合や、バソコンがウイルスに感染し勝手に児童ポルノをダウンロードしてしまった場合でも、そのことを認容しないときは、所持(保管)罪は成立しない。
(5)○ 枝文のとおり(枝文解説(4)参照)。第三者から嫌がらせ等で児童ポルノを送り付けられた場合等、送り付けられた時点では、所持(保管)に当たらず、「自己の意思に基づく」ものでなかったとしても、その後メールに添付された児童ポルノ画像を開き、当該ファイルが児童ポルノであることを認識した上で、性的好奇心を満たす目的で、これを積極的な利用の意思に基づいて自己のパソコンの個人用フォルダに保存し直すなどしたときは、その時点で新たに「自己の意思に基づいて所持するに至った」に該当すると考えられる。