児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

弁護人指摘のとおり,記録によれば,(3項製造罪の媒体)本件ハードディスクは,原判示第1のとおり,本件3項製造罪の犯罪行為の不可欠な要素をなす物ではなく,その犯罪行為によって作り出された物と認められるから,刑法19条1項3号にいう「犯罪行為により生じた物」に当たるというべきである。

したがって,これを本件3項製造罪の「犯罪行為を組成した物」として,同条1項1号,2項本文を適用して没収した原判決には法令適用の誤りがある。(仙台高裁秋田支部h27.6.30)
 1号説
 

理由
本件控訴の趣意は弁護人奥村徹作成の控訴趣意書に記載のとおりであり,これに対する答弁は検察官柏木良太及び同石田正範連名作成の答弁書に記載のとおりであるから,これらを引用する。
 論旨は,?法令適用の誤り(控訴理由第1),?原判示第1の罪に関する訴訟手続の法令違反(同第2ないし第6),?原判示第2の罪に関する法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反(同第7及び第8),?量刑不当(同第9及び第10)の各主張である。
 なお,以下において,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律を「児童ポルノ法」と,県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例を「本件条例」と,児童ポルノ法7条3項違反の罪を「3項製造罪」と,原判示第1の事実に係る3項製造罪を「本件3項製造罪」とそれぞれ略称する。
第1 法令適用の誤りの主張(控訴理由第1)について
論旨は,要するに,本件3項製造罪に係る外付けハードディスク(地方検察庁支部平成27年領第2号符号4。以下「本件ハードディスク」という。)は,本件3項製造罪の犯罪行為により生じた物(産出物件)であるから,刑法19条1項3号2項本文を適用して没収するべきであるのに,これを本件3項製造罪の犯罪行為を組成した物(組成物件)として同条1項1号,2項本文を適用して没収した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
そこで検討すると,弁護人指摘のとおり,記録によれば,本件ハードディスクは,原判示第1のとおり,本件3項製造罪の犯罪行為の不可欠な要素をなす物ではなく,その犯罪行為によって作り出された物と認められるから,刑法19条1項3号にいう「犯罪行為により生じた物」に当たるというべきである。
したがって,これを本件3項製造罪の「犯罪行為を組成した物Jとして,同条1項1号,2項本文を適用して没収した原判決には法令適用の誤りがある。