児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

単純所持の規制方法

 高山委員は、まだ営利性にとらわれているようです。それだとH16改正の児童ポルノ単純製造(3項製造罪)から説明できません。なかなか単純所持罪に届かない。
 日本一厳しい条例を作るんなら、
   故意過失目的を問わず、所持は懲役2年(罰金刑は選択できない)
   正当性は違法性阻却事由として犯人に主張立証責任。
   1画像1罪で併合罪加重される
に決まっています。

児童ポルノ規制条例検討会議(会議メモ)
日 時 平成22年11月17日(水)
    午後1時30分〜3時30分
土井座長
 あと、大分時開か迫っておるのでございますが、次回の御議論をいただく主要なテーマになるだろうと考えておりまのが児童ポルノの取得所持に関する禁止の問題になります。これは前回までにも少し御議論いただいているんですが、少し法的に技術的な問題等々があってどういう点を考えたらいいのかということについて、法律の専門家以外の委員もお越しいただいていますので、少し考えるポイントを整理していただいたほうがいいんじゃないかということで、高山委員に少し論点を整理していただきました。
 次回は、今日、高山委員からこのレジュメに従って少し問題点等を御説明いただいて、それを踏まえて次回各委員のほうで自由に意見交換をしていただきたいと思いますので、高山委員のほうから資料5の論点レジュメについて少し御説明をいただけますでしょうか。
 高山でございます。資料5の児童ポルノの取得・所持の禁止論点レジュメという形で簡単にまとめさせていただきました。
 取得、所持に関しましても、もう現在現行法のもとでも一定の条件のもとでは所持、取得とも処罰される可能性が既にあるのでございまして、児童買春・児童ポルノ処罰法の条文にそのまま当たっている行為以外にも、さらに共犯として処罰される範囲はその周辺にあるということで、条例の範囲でさらに規制を強化していくとすればどんな論点が問題になるのかにつきまして、規制の範囲と手段の点から考えをまとめさせていただきました。
 ます、1の(1)のところで対象児童の年齢でございます。奈良県の条例では13歳というのが境になってまして、これはわいせつ行為、勧誘行為を行いますと直ちに犯罪となるような年齢という線引きでございます。それから、青少年保護条例とかあるいは児童ポルノ規制法などの従来よくある規制では18歳が境になっているわけでございます。ただ、18歳というのはかなり成年に近い年齢でございまして、夫婦間ですとか、あるいは前回PTA協議会の方からも御指摘がありました、まじめに交際をしている男女の間で愛情を高めるために裸の写真とかを撮って持っているというケースは処罰すべきではないんではないかということも考えられまして、年齢の点が1つ問題になります。
 それから、1の(2)で規制対象画像の範囲でございます。?は現在の児童ポルノ法の規制の定義に従った定義のところでございまして、かなり広いです。全裸の画像などは3番目のところに含まれております。
 しかし、もともとはこの児童ポルノの国際的な規制の強化というのは、国際組織犯罪としての児童ポルノビジネスを押さえていこうというところから始まっているのが中心でございまして、犯罪の手段として作られるような児童ポルノがビジネスとして成り立つことによって犯罪そのものが行われてしまうというようなところが根本的な問題になったわけです。
 その点から見ますと、諸外国の規制は、児童の裸の写真を単に所持しているだけで処罰するという国はG8のロシア以外の国の規制で、私か見た範囲ではありませんでした。もちろん日本でも、私自身持ってますね、弟と一緒に幼稚園ぐらいのときにお風呂にはいっている全裸の写真を父親が撮ったというものがあって、大事な家族写真でありまして、これを撮ったり持ったりしているだけで犯罪と言われると困るなと思うところもあるわけでございます。
 それで、諸外国の例を見ますと、やはり児童に対する犯罪の手段として作られているようなものの所持が処罰されているケースが多うございまして、日本で申しますと、児童に対する性犯罪の一番重いものは?のところに挙げておりますような強制わいせつ罪、懲役10年が最高刑です。それから強姦罪は懲役20年が最高刑です。その次に児童福祉法違反、罰則を書くのを忘れてしまいましたが、やはり懲役IO年が最高刑で、これらが児童に対する一番重大な性犯罪ということで、具体例につきましては前回犯罪被害者支援センターの方からの御紹介があったようなところでございます。
 それから、規制の内容といたしまして2番目の(1)、持っているだけで全部処罰というのはやはり問題がございます。とりわけ弁護士の方とかお医者さんなど職業上どうしても必要な場合は処罰対象からもちろん外れるわけですけれども、どこまでを規制の対象にするかという問題があります。
 それから、(2)で規制方法というのにもこれも複数のことが考えられるわけです。ます刑事罰則はつけないけれども単なる禁止とするということがあります。これは法的には無意味ではありませんで、大変大きな意味を持つと私は考えております。というのは、単なる禁止であってもこれは違法であるということを宣言することによって代金請求ができないことになりますので、ビジネスとして成り立だなくなる、そうすることによって抑えることができるという効果も十分発生し得るというふうに考えます。
 それから、一定の行為をすると直ちに処罰するという直罰という方法があります。
 それから、3番目に書いているのは廃棄命令という案でございますが、これは、例えば現在でもわいせつ物が輸入されようとしているときに税関のところでそれを廃棄してもらうという措置がとられているところですし、別のタイプといたしましては、ストーカー行為規制法の中で被害に遭っている被害者が警察に相談をして、警察のほうから加害者に対して警告とか禁止命令などを出すというケースがあります。この命令に違反した場合には処罰されるという形の間接罰規定という取り締まりの仕方もございます。
 それから、(3)として罰則の重さとしてどの程度のものができるかということでございます。奈良県条例は30万円以下の罰金又は拘留、科料という刑でございますが、一応法律上は、条例で設けることのできる罰則の最高年は2年以下の懲役、2年の懲役ということになっております。
 最後に適用上の注意といたしまして、権利の不当侵害、本来の目的を逸脱した濫用の禁止がなされないように規定を設けるべきだということが考えられまして、類似の規定はストーカー行為規制法などにも見られるところでございます。
 ちょっと法律の問題点について今日は議論する時間がないのですけれども、次回に御議論を願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 今、高山委員のほうから御説明をいただいた点等について少し委員の方で御検討いただいて、次回に自由に御議論をいただければと思います。