名古屋高裁H22.3.4
論旨は,被告人が企てたわいせつ行為は,口淫又は手淫させて撮影するというものであったから,撮影行為を認定せずに強制わいせつ罪の既遂を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
しかしながら,犯人が企図したわいせつな行為の全てが遂げられなければ既遂とならないものではなく,その一部のわいせつな行為がなされれば,強制わいせつ罪は既遂に達したものと解すべきであるから,所論の各事実につきいずれも強制わいせつ罪の既遂を認めた原判決に法令適用の誤りはない。
論旨は理由がない。