児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

写真撮影をわいせつ行為と評価した事例(東京地裁S62.9.16)

 こういうのは実務家感覚では当然なんですが、13歳未満の児童を撮影する行為は、強制わいせつ罪か3項製造罪か(両罪か)というのは、裁判所に決めて欲しいと思っています。あたりまえのことを聞くなと一蹴されるでしょうけど。
 併合罪説というのはよそでは無理なようですよ>安廣裁判長。

東京地方裁判所昭和62年9月16日
判例タイムズ670号254頁
判例時報1294号143頁
(罪となるべき事実)
 被告人は、同日午後二時四〇分ころ、右求人広告雑誌を見たA(昭和四〇年八月七日生)からアルバイトをしたい旨の電話を受け、翌二八日午前一〇時に前記スカイプラザ五〇六号室で面接を行う旨を伝えたが、その電話での話し振りなどから同女を働かせることができれば男性客相手の電話の応対などもうまくやつてくれるだろうと思え、他の応募者らとの前記のような面接の際の状況に照らし、右Aが約束どおり同室を訪ねて来たならば、同女に仕事の中味を告げる前に同女を無理矢理全裸にしてその姿態を写真に撮影し、その写真の存在や公表等を怖れる同女の性的羞恥心を利用して同女の弱味を掴むことによつて、同女に前記女性下着販売業のモデルとして働くことを承諾させようと思い立つに至つた。
 そして、被告人は、右五月二八日午前一〇時一五分ころ、同女が前記スカイプラザ五〇六号室を訪れるや、強いて同女を全裸にしその姿態を写真に撮影することが同女に性的羞恥心を与え、被告人自らを男性として性的に刺激、興奮させる性的意味を有する行為であることを認識しながら、前夜思い立つたとおりあえてそのような強制わいせつの行為をしようと考え、同室において、まず同女を玄関から事務所として使用している前記板の間に招き入れ、同板の間に置かれた椅子に座るよう指示するとともに、右玄関脇のスチール製物入れに置いておいたタオル一枚を右手に持ち、椅子に座ろうとして立ち止まつた同女に対し、その背後からいきなり右タオルで同女の口を塞ぎ、左腕を同女の首に巻くようにしてその頚部を強く押さえ、また、抵抗してもがく同女とともに前方に倒れるや、同女の上に乗りかかつた形で押さえ付け、更に、同女の口からタオルが外れたのち、大声で悲鳴を上げ始めた同女の口を右手で塞いだり、その頸部を手の平で押さえ付けたりするなどの暴行を加え、強いて同女を全裸にしその姿態を写真に撮影するなどのわいせつ行為をしようとしたが、同女から被告人の右手指を噛むなどの抵抗を受け、その直後ころ、同女の悲鳴を聞き付けた隣人の連絡を受けた前記スカイプラザの管理人が訪れて来たことから被告人が同人と玄関口で応対しようとした隙に、右Aが玄関から外に逃げ出したため、強いてわいせつな行為をするに至らず、その際右暴行により、同女に対し、加療に約二〇日間を要する頸部絞傷、両鎖骨部擦過傷、両膝・両下腿打撲擦過傷の傷害を負わせたものである。