結局、児童ポルノ公然陳列による経済的利益はここに落ちているわけです。「知らなかった」というのが通るかどうか?
なお、神奈川県警は、この事件では掲示板管理者を幇助にしているようですね。幇助の幇助(間接従犯)。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090401k0000m040183000c.html
アフィリエイト広告:代理店社長立件へ 神奈川県警
児童ポルノ画像投稿サイトに、成果に応じて報酬を支払うアフィリエイト広告を仲介してサイト運営を支えたとして、神奈川県警少年捜査課などは1日、大阪府豊中市の広告代理店社長の男(40)を児童買春児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)ほう助容疑で、横浜地検小田原支部に書類送検する。違法サイトの「資金源」との指摘もある広告収入に踏み込み、広告代理店を立件するのは全国初となる。【吉住遊】
容疑は08年5〜7月、携帯電話の児童ポルノサイト(閉鎖)に、この代理店が仲介したアフィリエイト広告を掲載させ、広告料2万1000円を振り込んでサイト運営を支え、川崎市の会社員の男(35)ら5人=同法違反罪で罰金刑=の投稿をほう助したとしている。サイト管理人の男(44)=同ほう助罪で罰金刑=は、別に開設した適法サイトを装い広告主と契約していた。
代理店は内規で、児童ポルノなどを例示し「ふさわしくない広告掲載サイトにサービス提供を拒否できる」と定めるが、内規を守るために必要な措置を講じなかったことから、県警は違法性を問えると判断した。取材に社長は「コンピューターに登録しているサイトが膨大でチェックできなかった」と答えた。
これで故意があるのなら、プロバイダは全滅ですね。「違法サイトも含まれているとは思ったが、人手の問題などもありチェックができなかった」というのは、プロバイダも同じ状況ですから。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090401-00000018-kana-l14
同課によると、この代理店は内規で「違法サイトには広告仲介しない」と定めていたが、社長は「七千件以上のサイト広告を仲介しており、違法サイトも含まれているとは思ったが、人手の問題などもありチェックができなかった」と供述。県警は、社長が違法サイトに資金が流れることを知りながら必要な措置を講じなかった「未必の故意」があったとして、ほう助容疑を適用した。
そういう約定なので、「まさか、違法サイトがあるとは思わなかった。」と言わないと。
プロバイダの民事責任についてはプロバイダ責任制限法で、未必の故意の場合を免責しているのに、刑事責任が来るとは思わなかったものだから、民事は免責され、刑事は免責されないみたいな法制度になっています。
裁判例コンメンタール刑法1巻P606
しかし、62 条が「正犯を酎助した者」としているのは間接幇助を認めない趣旨であり、従犯の幇助行為は実行行為ではなく、幇助の幇助という観念を認める余地がないのであるから、明文規定がない以上、否定説の立場が妥当であるといえる。
実行行為者が犯罪を決意していることを認識し、幇助行為によってその実行を間接的に容易にしている場合、端的に正犯を幇助していると解すべきである。
こういう判例が下敷きになってると思います。
売春防止法違反被告事件
大阪高等裁判所判決平成7年7月7日
個室付浴場業者に資金を融資した信用金庫の支店長に対し、売春防止法13条1項の資金提供罪が成立するとした事例
判例時報1563号147頁
警察学論集49巻12号199頁
研修582号11頁
判例評論459号78頁