児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

令状提示後の宅配便を開封できる(最高裁h19.2.8)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070210-00000032-san-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070210-00000057-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070211-00000016-san-soci
家宅捜索の途中で被告あての宅配便が到着し、警察官が開封したところ覚醒剤約48グラムが入っており、被告は覚醒剤所持の現行犯で逮捕された。
 被告側は「捜索差押令状が容疑者に示された場合、捜索すべき場所の中にある物品に限られ、令状の提示後に他から搬入された物品にまで及ぶものではなく、違法だ」と無罪を主張していたが、退けられた。

 判例はいずれ↓に載る。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=02&recentInfoFlg=1

 こういうのって、判例も学説もないから、弁護人は必死で情報集めて、理屈を考えるわけです。
 判決や意見をwebで公開して、意見を求めるなんていうのも、風当たり強い。
 学者の援助も欲しいところですが、学者さんも忙しいし、自説が採用されない危険性も高いしで、なかなか協力は得られません。
 結論として、最高裁が被告人に有利な判断をすることはなかなかないわけで、そうなると、弁護人が必死で考えた理屈は「独自の見解」「反対説」と一蹴される。
 また、学説は「判例の結論に賛成する」一色になる。
 挙げ句の果てに、「弁護人が○○を主張しなかったのは残念である」なんて書かれて。
 弁護人の努力に対して、失礼な話です。お前らも分からなかったか。考えたこともなかったくせに。
 奥村は慣れました。
 戦略的には、高裁レベルでA説・B説出しておいてから、上告したいですね。
 最近の議院立法はかなりお粗末なので、そんなことが可能です。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=34123&hanreiKbn=01
事件番号 平成18(あ)1733
事件名 覚せい剤取締法違反被告事件
裁判年月日 平成19年02月08日
法廷名 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集巻・号・頁
原審裁判所名 仙台高等裁判所 秋田支部
原審事件番号 平成18(う)19
原審裁判年月日 平成18年07月25日

判示事項
裁判要旨 被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物について同許可状に基づき捜索することの可否

主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中70日を第1審判決の懲役刑に算入する。
理由
なお,所論にかんがみ職権で判断する。原判決の認定によれば,警察官が,被告人に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき,捜索場所を被告人方居室等,差し押さえるべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状に基づき,被告人立会いの下に上記居室を捜索中,宅配便の配達員によって被告人あてに配達され,被告人が受領した荷物について,警察官において,これを開封したところ,中から覚せい剤が発見されたため,被告人を覚せい剤所持罪で現行犯逮捕し,逮捕の現場で上記覚せい剤を差し押さえたというのである。所論は,上記許可状の効力は令状呈示後に搬入された物品には及ばない旨主張するが,警察官は,このような荷物についても上記許可状に基づき捜索できるものと解するのが相当であるから,この点に関する原判断は結論において正当である。