児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法定刑・処断刑・宣告刑

 児童ポルノ販売罪の罪数がどうして問題になるかというと、処断刑期が決まらないからです。
 法定刑・処断刑・宣告刑の定義については、検索してみてください。
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLD,GGLD:2004-39,GGLD:ja&q=%E5%87%A6%E6%96%AD%E5%88%91%E3%80%80%E5%AE%A3%E5%91%8A%E5%88%91%E3%80%80%E6%B3%95%E5%AE%9A%E5%88%91

 裁判所は、法定刑に、再・法・併・酌で加減して、そうやって決まった処断刑期のうちから、宣告刑を決めます。
 この思考過程は量刑理由の最後に説明されることがあります。

 これらの諸事情を総合考慮すると,被告人の,第1の1の罪については所定刑中有期懲役刑を選択し,第2の罪につき無期懲役刑を選択した上障害未遂による法律上の減軽をし,これらと第1の2の詐欺罪とも併合罪の加重をした処断刑期の範囲内で,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断した。

 複数の販売罪が一罪になるか併合罪になるかで、処断刑が1.5倍違うんです。処断刑の上限は5年か7年6月か?
 そこがわからないと、威厳を持って「処断刑期の範囲内で,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断した。」っていえるはずがないでしょ。
 前科がたくさんある暴力集団の場合だけ併合罪で一般市民は一罪というわけにもいかず、実刑の場合は併合罪で執行猶予の場合は一罪というわけにもいかず、裁判所は逃げられないところです。
 しかも、わいせつ図画罪とは異なる児童ポルノ罪の本質に関わってくる問題。
 被告人にとっても、自分の行為がどのようにどの程度非難されるのかが理解できないと、真の反省や更生は図れない。
 だから、奥村弁護士はこだわっているわけです。