不同意わいせつ罪(176条3項)の無罪事例(東京地裁r07.12.23)
「本件映像からは本件行為の前後における接触がわいせつな意図でされている
かは判然とせず、その主張を踏まえても前記結論を左右しない。」てな具合に
性的意図が考慮されます
【文献番号】25627834
東京地方裁判所
令和7年12月23日刑事第18部判決
判 決
職業 無職 a 平成5年○月○○日生
上記の者に対する不同意性交等、不同意わいせつ被告事件について、当裁判
所は、検察官山根誠之及び私選弁護人水沼太郎各出席の上審理し、次のとおり
判決する。
主 文
被告人を懲役 年に処する。
未決勾留日数中310日をその刑に算入する。
令和7年1月31日付け追起訴状記載の公訴事実について、被告人は無罪。
事実認定に関する補足説明)
1 争点等
令和7年1月31日付け追起訴状記載の公訴事実の要旨は、本件保育所に保
育士として勤務していた被告人が、本件保育所に通所する■(以下「C」とい
う。当時4歳)が13歳未満の者であることを知りながら、令和6年7月24
月午前7時57分頃、本件保育所3階4歳児保育室において、同人に対し、着
衣の上からその陰部を指で触ってもてあそぶわいせつな行為(以下「本件行
為」という。)をしたというものである。
被告人は、本件行為をしていない旨供述し、弁護人は、その供述を前提に被
告人は無罪である旨主張する。そこで、関係証拠を検討したところ、当裁判所
は、被告人が本件行為をしたと認定するには合理的な疑いが残ると判断したの
で、その理由について補足して説明する。
2 当裁判所の判断
検察官は、本件保育所3階4歳児保育室に設置された防犯カメラ映像(甲2
3。以下「本件映像」という。)及びその解析結果(甲22、59)によれ
ば、被告人が本件行為をしたと認定できる旨主張する。
確かに、本件映像によれば、令和6年7月24日午前7時57分頃、本件保
育所3階4歳児保育室において、胡坐をかいた体勢の被告人が、仰向けで足を
開いた体勢のCを自らの方へ引き寄せ、Cの上衣の裾から左手を差入れて下腹
部から股間周辺に置き、左手親指辺りを複数回動かしたと認められる(本件映
像に記録された時刻午前7時57分24秒頃から午前7時57分54秒頃ま
で)。
しかし、被告人とCがいずれも黒色様のズボンを着用していることや、Cの
身体の一部が書棚に隠れていることなどの影響があり、本件映像からはCの股
間の位置が判然とせず、被告人が左手親指辺りを複数回動かした部位がCの陰
部であるとまで認めることはできない。なお、検察官は、被告人が本件行為の
前後にCの胸部や臀部等の性的部位に繰り返し触れており,わいせつな意図で
身体的接触をしていたと推認できる旨も主張するが、本件映像からは本件行為
の前後における接触がわいせつな意図でされているかは判然とせず、その主張
を踏まえても前記結論を左右しない。
したがって、被告人が本件行為をしたと認定するには合理的な疑いが残るか
ら、令和7年1月31日付け追起訴状記載の公訴事実について、刑事訴訟法3
36条により、無罪の言渡しをする。