児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

1個ののわいせつ目的誘拐によって、2回強制性交した場合に、牽連犯のかすがい現象により科刑上一罪とした事例(神戸地裁r5.4.19)  

【文献番号】25595235

詐欺、準強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、北海道迷惑行為防止条例違反、窃盗、わいせつ誘拐、証人威迫被告事件神戸地方裁判所令和3年(わ)第31号、令和3年(わ)第272号、令和3年(わ)第744号、令和3年(わ)第783号、令和3年(わ)第1234号、令和4年(わ)第19号
令和5年4月19日第4刑事部判決

第8(訴因変更後の令和3年12月24日付け起訴状の公訴事実)
 B(当時17歳)を誘拐してわいせつな行為をしようと考え、令和2年12月1日から同月7日までの間、神戸市δ区θ△△番△号P7等の兵庫県内及びその周辺において、同人に対し、同人が妊娠しており、卵管破裂による死の危険があり、これを免れるためには、毎日妊娠中絶薬を飲むか、妊娠中絶薬を服用した被告人と性交する必要があるので、被告人と共に福岡県に行く必要がある旨うそを言ってBにその旨誤信させ、同月7日午後10時55分頃、別紙2記載丙において、前記のとおり誤信していた同人を、被告人が運転する自動車に乗せて発進させ、その頃から同月13日午前2時50分頃までの間、福岡市κ区λ△丁目△番△号P8×××号室、宮崎県都城市μ△△街区△△△号△P9×××、福岡市κ区ξ△丁目△△番△△号P10×××号室等にBを滞在させるなどして自己の支配下に置き、もってわいせつの目的で同人を誘拐した上、その間である
1 同月9日午前2時22分頃から同日午前11時59分頃までの間に、前記P9×××号室において、前記のとおり誤信していた同人に対し、同人が毎日妊娠中絶薬を服薬する方法では間に合わず死の危険があり、これを免れるためには、妊娠中絶薬を服用した被告人と性交するほかない旨うそを言い、Bにその旨誤信させ、同人の同誤信による抗拒不能に乗じて、同人と性交した。
2 同日午後10時36分頃から同月10日午前11時40分頃までの間に、前記P10×××号室において、前記のとおり死を免れるためには被告人と性交するほかない旨誤信していたBに対し、妊娠中絶のために更に被告人と性交する必要がある旨うそを言い、Bにその旨誤信させ、同人の同誤信による抗拒不能に乗じて、同人と性交した。
法令適用
判示第8の所為のうち
わいせつ誘拐の点 刑法225条
1の準強制性交等の点及び2の準強制性交等の点
それぞれ刑法178条2項、177条前段
科刑上一罪
判示第8の事実 刑法54条1項後段、10条(わいせつ誘拐と各準強制性交等との間にはいずれも手段結果の関係があるので、結局以上を1罪として刑及び犯情の重い2の準強制性交等罪の刑で処断する。)