二重起訴が疑われる事例(浜松支部r7.5.9)

浜松支部r7.5.9は確定しているらしいが、TKCから公開されている判決をみても、
令和6年2月20日付起訴状第2で児童Aに対するr5.6.19のわいせつ行為が先に起訴されて、
令和6年3月28日付起訴状で児童Aに対するr5.6.19の児童ポルノ製造行為(撮影)が後に起訴されているようだが、
きょうび、強制わいせつ罪(176条後段)・準強制わいせつ罪と、児童ポルノ製造罪は観念的競合なので(東京高裁r7.7.4)、後の起訴は二重起訴になっている恐れがある。

刑訴法第三三八条[公訴棄却の判決]
 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
三 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。

 絶対的控訴理由じゃないか。

第三七八条[絶対的控訴理由②]
 左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。

提供 TKC
【文献番号】 25622964
【文献種別】 判決/静岡地方裁判所浜松支部(第一審)
【裁判年月日】 令和 7年 5月 9日
【事件名】 強制わいせつ、準強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 來司直美
【全文容量】 約21Kバイト(A4印刷:約14枚)
       理   由
以下における被害者及び児童ポルノの撮影対象児童等の呼称は別紙のとおりである。
(罪となるべき事実)
 被告人は、静岡県掛川市α×番地の×b医療センター小児科の医師であるところ、
第1【令和5年9月6日付起訴状、令和6年2月20日付起訴状第2】
 同センターの患者である別紙記載のAに対し、診療行為と装ってわいせつな行為をしようと考え
1 別表1記載のとおり、令和2年7月8日から令和4年5月16日までの間、22回にわたり、同センター2階小児科診察室において、「被害児童の年齢(当時)」欄記載のとおり、Aが13歳未満のものであることを知りながら、同人が診察及び治療であると誤信していることに乗じ、同人に対し、「わいせつ行為の態様」欄記載のとおり、胸部、陰部、あるいは陰部付近を露出させてその胸部を手で直接揉むなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした
2 別表2記載のとおり、令和4年6月6日から令和5年6月19日までの間、13回にわたり、同センター2階小児科診察室において、同人が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人に対し、「わいせつ行為の態様」欄記載のとおり、胸部・陰部を露出させてその胸部を手で直接揉むなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
第2【令和5年9月26日付起訴状、令和6年1月19日付起訴状】
 同センターの患者である別紙記載のBに対し、診療行為と装ってわいせつな行為をしようと考え
1 平成31年3月22日午後5時59分頃から同日午後6時5分頃までの間、同センター2階小児科診察室において、同人(当時14歳)が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人をしてその着衣を脱がせて胸部を露出させ、さらに、同人に対し、同診察室ベッドに座らせてその両胸を手で直接触るなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
2 令和3年3月8日午後5時53分頃から同日午後6時9分頃までの間、同センター2階小児科診察室において、同人(当時16歳)が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人をしてその着衣を脱がせて全裸にさせて胸部等を露出させ、さらに、同人に対し、同診察室ベッドに座らせてその両胸を手で直接触るなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
第3【令和5年10月18日付起訴状、令和6年2月20日付起訴状第1】
 同センターの患者である別紙記載のCに対し、診療行為と装ってわいせつな行為をしようと考え
1 別表3記載のとおり、令和元年10月10日から令和3年7月30日までの間、9回にわたり、同センター2階小児科診察室において、同人が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人に対し、「わいせつ行為の態様」欄記載のとおり、胸部・陰部付近を露出させて、その胸部を手で直接揉むなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
2 令和4年7月28日午後6時49分頃から同日午後7時14分頃までの間、同センター2階小児科診察室において、同人(当時17歳)が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人をしてその着衣を脱がせて胸部を露出させるなどし、さらに、同人に対し、同診察室ベッドに座らせてその両胸を手で直接何度も揉むなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
第4【令和5年11月15日付起訴状】
 同センターの患者である別紙記載のDに対し、診療行為と装ってわいせつな行為をしようと考え、別表4記載のとおり、平成29年12月27日から令和4年12月16日までの間、5回にわたり、同センター2階小児科診察室において、同人が診察及び治療であると誤信して抗拒不能であることに乗じ、同人に対し、「わいせつ行為の態様」欄記載のとおり、胸部・陰部等を露出させてこれを手で直接弄ぶなどし、もって、同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした
第5【令和6年3月28日付起訴状】
1 同センターの患者であるAほか5名が、18歳に満たない児童であることを知りながら別表5記載のとおり、令和3年4月21日から令和5年6月19日までの間、39回にわたり、同センター2階小児科診察室において、被告人が同児童らの乳首を手で触る姿態及び同児童らの胸部等を露出させる姿態をとらせ、これを被告人が使用する撮影機能付き携帯電話機で動画撮影した上、その動画データ39点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し、もって、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
2 自己の性的好奇心を満たす目的で、同年7月29日、同県袋井市β××××番地の××被告人方において、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した動画データ115点を記録した児童ポルノである携帯電話機1台(令和6年領第634号符号3の1)及びマイクロSDカード1枚(同符号3の2)を所持した
ものである。


(法令の適用)
罰条
判示第1の1の各所為、いずれも令和5年法律第66号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
判示第1の2、第2の1・2、第3の1・2、第4の各所為 いずれも令和5年法律第66号附則2条1項により同法による改正前の刑法178条1項、176条前段
判示第5の1の各所為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項2号、3号
判示第5の2の所為 同法7条1項前段、2条3項2号、3号
刑種の選択(判示第5の1、2) いずれも懲役刑
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第1別表1番号22の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数算入 刑法21条
没収 刑法19条1項2号、2項本文(静岡地方検察庁浜松支部で保管中の携帯電話機1台[令和6年領第634号符号3の1]及びmicroSDカード1枚[同符号3の2]は、判示第5の2の犯行の用に供した物で被告人以外の者に属しない。)
(量刑の理由)
令和7年5月9日
静岡地方裁判所浜松支部刑事部
裁判官 來司直美