児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、」「 誘拐して同人と性交等しようと考え」というわいせつ目的誘拐罪と、青少年条例違反(淫行)は牽連犯だが、誘拐罪と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪とは併合罪とした事例(横浜地方裁判所令和5年8月29日)

「自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、」「 誘拐して同人と性交等しようと考え」というわいせつ目的誘拐罪と、青少年条例違反(淫行)は牽連犯だが、誘拐罪と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪とは併合罪とした事例(横浜地方裁判所令和5年8月29日)

 わいせつ誘拐罪の「わいせつ」は、刑法176条のわいせつよりも広い概念で、売春させる目的なども含みます。
 青少年条例の関係でも、裸体撮影行為はわいせつ行為です。
 山口地裁h21.2.4は、わいせつ誘拐と製造罪を牽連犯とします。
 東京高裁r5.10.12は、侵入と製造罪について、犯人の主観面で目的手段の結果であることを重視して牽連犯を認めています。

横浜地方裁判所令和5年8月29日
【罪となるべき事実】
第1 A事件
(第1の犯行に至る経緯)
 被告人は、令和4年9月19日、自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、ソーシャルネットワーキングサービス「Twitter」上に「死にたい。」、「監禁してください。」などと投稿していたAに対し、「本気ですか。」などとメッセージを送信するなどし、同人と知り合った。
1(訴因変更後の令和4年11月7日付起訴状記載の公訴事実第1に係るもの)
 被告人は、A(当時13歳)を誘拐して同人と性交等しようと考え、令和4年9月19日から同月20日までの間、東京都内、埼玉県内又はその周辺において、同人に対し、自己のスマートフォンを使用して、「俺のものになろうか。」、「私の家においでよ。」などとメッセージを送信するなどして自己の下に来るように誘惑し、Aにその旨決意させ、同月20日午後5時頃、東京都千代田区α×丁目×番×号βビルディング前路上において、同人と合流し、同人をさいたま市γ区δ×丁目××番地×εビル×××号室被告人方に連れ込み、その頃から同月23日までの間、Aを同所に寝泊まりさせるなどして自己の支配下におき、もってわいせつの目的で人を誘拐した上、Aが18歳未満の青少年であることを知りながら、同月21日午後7時30分頃から同日午後8時15分頃までの間に、前記被告人方において、専ら自己の性欲を満たす目的で、Aと性交し、もって青少年に対し、淫らな性行為をした。
2(令和4年11月16日付追起訴状記載の公訴事実に係るもの)
 被告人は、A(当時13歳)が18歳未満の児童であることを知りながら、令和4年9月21日午後7時44分頃から同日午後8時3分頃までの間に、前記被告人方において、Aが被告人の陰茎を口淫する姿態及びAに被告人と性交する姿態をとらせ、これらを被告人が使用する動画撮影機能付き携帯電話機で動画撮影し、その動画データ2点をb株式会社が管理するオンラインストレージサービスである「c」に使用されるサーバコンピュータに送信して記録させて保存し、もって児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した。

【法令の適用】
罰条
判示第1の1の所為
わいせつ誘拐の点 刑法225条
条例違反の点 埼玉県青少年健全育成条例28条、19条1項
判示第1の2の所為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項1号
判示第1の3の所為 刑法202条前段
判示第2の所為 刑法224条
科刑上の一罪の処理
判示第1の1 刑法54条1項後段、10条(1罪として重いわいせつ誘拐罪の刑で処断)