交際していたのに東京都青少年の健全な育成に関する条例の「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」として罰金(確定)になったという相談
典型的な淫行は、ホテルで会ってホテルで分かれるという関係。
「単に」というのだから、1%でも自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない」というのを否定するような関係があれば起訴されません。映画・美術館・映画館デートを主張して、起訴猶予になることもあります。
東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第18条の6
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない。
【要旨】
本条は、すべての者に対し、青少年と反倫理的な目的、手段による性交又は性交類似行為を行うことを禁止する規定である。
【解説】
平成17年の条例改正前の本条は、平成9年の条例改正によって新設され、平成16年の条例改正で法律との異同部分を整理した規定である。
平成9年の条例改正では、情報化や性の商品化が著しく進み、「性」に関する意識が大きく変化する中で、性風俗に安易に係わる青少年と、その相手方となる大人(18歳以上)の行動が、深刻な社会問題となり、性の商品化から青少年を守るため、青少年に対する買春等の禁止が新設され、第18条の2第1項において、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対象として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行ってはならない。」、第2項において、「何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行ってはならない。」と規定した。
平成16年の条例改正では、平成11年11月1日に児童買春・児童ポルノ禁止法が施行され、児童に対して対償を供与等し、性交等をすることが禁止されたことに伴い、同法との整合性を図るため、いわゆる「金品等の供与等を伴う性交又は性交類似行為」と規定していた条例第18条の2第1項を、すでに効力が失われているため削除した。また、同法の対象とならない対償の供与等を伴わない周旋による性交又は性交類似行為については、条例第18条の3第1項により、「何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋(対象の供与又は供与の約束を伴うものを除く。)を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行ってはならない。」とし、独立した条文としての改正を行った。
しかし、メディアから性に関する情報が流され、出会い系サイトの利用により青少年が大人との接触の機会が増加するなど、青少年の性を取り巻く環境は、近年大きく変化している。このような中で、青少年が健全に成長する環境づくりのため、大人に対して、青少年との反倫理的な性交又は性交類似行為に対する責任を問い、大人の姿勢を正すことをねらいとして、平成17年の条例改正で淫行処罰規定へと改正した。
「何人も」とは、国籍、住所、年齢、性別を問わず、都内にいる全ての人(自然人)を指す。したがって、青少年が本条に定める行為を行った場合でも、本条の違反に該当するが、条例第30条(青少年についての免責)により罰則は適用されない。
「みだらな性交又は性交類似行為」とは、「淫行」と同義であり、最高裁判例によれば、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺岡し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。」とし、例えば、婚約中の青少年又はこれに準ずる真蟄な交際関係にある青少年との間で行われる性交等は含まないとしている。
「性交類似行為」とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる
手淫・口淫行為・同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈と同義であり、キスや単なる抱擁、衣服の上から胸をもむ行為や、陰部を触る行為は該当しない。