児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

男子小学生の尻を軽くたたいた行為について無罪とした事例(神戸地裁R03.11.30)

 詳細不明です。

 解説書では
「痴漢行為」、「のぞき見行為」、「盗撮行為又は盗撮目的で写真機等を向ける行為」以外のいやらしく・みだらで性的道義観念に反し、人に不安を覚えさせるような卑わいな言語・動作をいう。具体的には、スカートを捲る、傘の柄等を他人の胸部や臀部に押しつける、耳元等に息を吹きかける、耳元で卑わいな言葉をささやく、女性に声をかけ「おっぱい大きいね。」「おつばい触らせて。」「おじちやんとエッチしよう。」などと言う言動がこれに当たる。
と解説されています。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/146540
アルバイト先のコンビニで勤務中に、客として訪れた男子小学生の尻を軽くたたいたとして、兵庫県迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の罪に問われた20代のベトナム人男子留学生に、神戸地裁(安西二郎裁判官)が「卑わいな言動には当たらない」として無罪判決を言い渡していたことが3日、分かった。判決は11月30日付。求刑は罰金30万円だった。
 判決などによると、留学生は3月24日に勤務先の神戸市のコンビニで、当時小4の男児2人の尻を衣類の上から1回ずつたたいたとして逮捕、起訴された。2人はたたかれた後、店を出て付近の交番に被害申告した。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
制定:昭和38年7月5日条例第66号
(卑わいな行為等の禁止)
第3条の2
1何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動

兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解説
「人」とは、本項により保護される対象者であり、性別、成年、未成年、国籍を問わず、1人であると多数であるとを問わない。
「不安を覚えさせるような卑わいな言動」とは、相手方に「不安を覚えさせるような」「野卑で、みだらな言動」をいう。
「不安を覚えさせるような」とは、いやらしいことをされるのではないかという心配を起こさせるようなという意味であるが、不安を覚えさせる言動かどうかは、個別具体的に認定しなければならない。
また、現に被害者が不安を覚えなくてもよく、被害者が当該行為に気付かない場合でも、もし、気付いたならば不安を覚えることが明らかな場合は本項が成立する。
(1) 痴漢行為
刑法の強制わいせつに至らない行為であり、具体的には、「電車等において、同意を得ていない人の身体に、衣服その他の身に着ける物の上から直接触れる」といった行為である。
(2) のぞき見行為
通常衣服等で隠されている人の下着又は身体をのぞき見するものである。要件として、のぞき見が、一般人をして不安を覚えさせるような卑わいな程度でなされることを必要とする。
具体的には、人のスカート内の下着等を下から積極的にのぞき見たり、手鏡をスカートの下に差し出して下着等を見る行為等をいう。
なお、1段落目の「のぞき見が、一般人をして不安を覚えさせるような卑わいな程度でなされることを必要とする」とは、積極的にのぞき見を行う(故意がある)ことが必要であるとの意味であって、例えば、スカートが風で捲れ上がった際に偶然に下着が見えたというような場合(故意がない)は、当然にして含まれない。
(3) 盗撮行為
通常衣服等で隠されている人の下着又は身体を、その人の承諾なく隠し撮りする行為である。
具体的には、写真機等を使って赤の他人のスカート内を隠し撮る行為、隠し撮る目的で写真機等をスカートに差し入れる行為をいう。
(4) その他卑わいな言動
「痴漢行為」、「のぞき見行為」、「盗撮行為又は盗撮目的で写真機等を向ける行為」以外のいやらしく・みだらで性的道義観念に反し、人に不安を覚えさせるような卑わいな言語・動作をいう。
具体的には、スカートを捲る、傘の柄等を他人の胸部や譽部に押しつける、耳元等に息を吹きかける、耳元で卑わいな言葉をささやく、女性に声をかけ「おっぱい大きいね。」「おつばい触らせて。」「おじちやんとエッチしよう。」などと言う言動がこれに
当たる。
「正当な理由がないのに」とは、社会通念に照らし、客観的に判断して不当であるということを意味する。
住居侵入(刑法第130条等)における「正当な理由がないのに」と同様に違法であることを意味すると解される。正当な理由があるかどうかは、具体的事案に即して、社会通念により決せられるべきである。