児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「迫られて数回やった。悪いこととは思っていた」という弁解

 24%くらいしか逮捕されない罪で逮捕された例です。
 迫られた場合は、「淫行」とはいわないんですよ。性犯罪の被害者になる。
 起訴猶予率も高いし、弁護人つけて弁解したんだろうか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120207-00000087-jij-soci
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012020700616
東京都青少年健全育成条例違反容疑で逮捕されていたことが7日、警視庁への取材で分かった。
 同庁少年事件課によると、母親は容疑を認め「迫られて数回やった。悪いこととは思っていた」と供述。既に略式起訴され、50万円の罰金刑が確定している。
 逮捕容疑によると、母親は昨年11月、八王子市の自宅で、息子の中学校の先輩だった無職少年とわいせつな行為をした疑い

東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012150001.html
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
(平一七条例二五・追加)
(罰則)
第二十四条の三 第十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(平九条例七五・追加、平一六条例四三・平一七条例二五・一部改正)

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 平成17年5月
[要旨}
本条は、すべての者に対し、青少年と反倫理的な目的、手段による性交又は性交類似行為を行うことを禁止する規定である。
[解説]
平成17年の条例改正前の本条は、平成9年の条例改正によって新設され、平成16年の条例改正で法律との異同部分を整理した規定である。
平成9年の条例改正では、情報化や性の商品化が著しく進み、「性」 に関する意識が大きく変化する中で、性風俗に安易に係わる青少年と、その相手方となる大人(18歳以上)の行動が、深刻な社会問題となり、性の商品化から青少年を守るため、青少年に対する貿春等の禁止が新設され、第18条の2第1項において、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない。」、第2項において、「何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行つてはならない。」と規定した。
平成16年の条例改正では、平成11年11月1日に児童買春法が施行され、児童に対して対償を供与等し、性交等をすることが禁止されたことに伴い、同法との整合性を図るため、いわゆる「金品等の供与等を伴う性交又は性交類似行為」と規定していた条例第18条の2第1項を、すでに効力が失われているため削除した。また、同法の対象とならない対償の供与等を伴わない周旋による性交又は性交類似行為については、条例第18条の3第1項により、「何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋(対償の供与又は供与の約束を伴うものを除く。)を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行つてはならない。」とし、独立した条文としての改正を行った。
しかし、メディアから性に関する情報が流され、出会い系サイトの利用により青少年が大人との接触の機会が増加するなど、青少年の性を取り巻く環境は、近年大きく変化している。このような中で、青少年が健全に成長する環境づくりのため、大人に対して、青少年との反倫理的な性交又は性交類似行為に対する責任を問い、大人の姿勢を正すことをねらいとして、平成17年の条例改正で淫行処罰規定へと改正した。
「何人も」とは、国籍、住所、年齢、性別を間わず、都内にいる全ての人(自然人)を指す。
したがって、青少年が本条に定める行為を行った場合でも、本条の違反に該当するが、条例第30条(青少年についての免責)により罰則は適用されない。
「みだらな性交又は性交類似行為」 とは、「淫行」 と同義であり、最高裁判例によれば、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺同し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。」 とし、例えば、婚約中の青少年又はこれに準ずる真撃な交際関係にある青少年との問で行われる性交等は含まないとしている
「性交類似行為」とは 、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性問の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる手淫・口淫行為・同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ法における性交類似行為の解釈と同義である。

追記
 強要があるのであれば、青少年条例違反の罪を認めてはいけませんね。少年の事件で、青少年条例違反の被疑者調書(「淫行したことに間違いありません」)を持ち出されて反論される恐れがあります。弁護士がいるのであれば、被害者は最初から被害者であると主張してほしいところです。

http://news.infoseek.co.jp/article/cyzo_20Feb2012_30347
「報道されている記事では高橋の母親が加害者と思う人もいるかもしれませんが、実際は限りなく被害者に近い。少年Aは地元でも札付きのワルで知られ、母親との最初の1回は半ばレイプに近かった。その後、あるモノを材料に母親を脅し、関係を何度も迫った。それで仕方なく母親は関係を結んでいたのです。母親が淫行容疑で逮捕されたのは事実ですが、現在、母親とAKB48側は弁護士を通じて、少年Aを脅迫罪などで提訴できないか検討しているそうです」(事情に詳しい人物)

 今後の展開次第では、少年Aが逆に逮捕されることも十分ありえるという。