普通、児童淫行罪を包括一罪にしますから、処断刑期は13年のはずです。
児童買春罪と児童淫行罪が観念的競合になっています。普通児童買春罪は立てないですけど。
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,児童福祉法違反被告事件
山形地方裁判所平成29年7月4日刑事部判決
判 決
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,児童福祉法違反被告事件について,当裁判所は,検察官佐藤浩由及び弁護人(国選)神永夕貴各出席の上審理し,次のとおり判決する。
(罪となるべき事実)
被告人は,■(以下「被害児童」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら、
第1 被害児童が実母■(以下「A」という。)の要求を拒めないことに乗じ,Aに対し,現金等を対償として供与する旨約束をして,平成27年11月16日午前9時58分頃から同日午前11時31分頃までの間,山形県東根市α×丁目×番××号所在の「ホテルb」×××号室において,A立会の下,被害児童(当時13歳)の臀部に自己の陰茎を擦りつけるなどして,被害児童に,自己を相手に性交類似行為をさせ,もって児童買春をするとともに,児童に淫行をさせる行為をした
第2 被害児童が実母Aの要求を拒めないことに乗じ,Aに対し,現金を対償として供与する旨約束をして,児童買春及び淫行の相手方として同児童を連れてくるように依頼し,その依頼を受けたAにその旨決意させ,Aをして,平成28年9月2日午前10時頃,山形県天童市β△丁目△番△△号所在の「c γ店」駐車場内に被害児童(当時14歳)を連れてこさせた上,同日午前11時7分頃から同日午後零時28分頃までの間,山形市δ□丁目□番□□号所在の「ホテルd」□□□号室において,A立会の下,被害児童に対し,ゲーム機及びゲームソフト(販売価格合計1万5260円)を対償として供与して被害児童と性交し,もって児童買春をするとともに,児童に淫行をさせる行為をした
第3 Aと共謀の上,同日午前11時19分頃から同日午前11時27分頃までの間,前記「ホテルd」□□□号室において,被害児童(当時14歳)に被告人の陰茎を触らせる姿態及び被害児童の胸部を露出させた姿態などをとらせ,これらを被告人が使用するタブレット端末の動画撮影機能を使用して動画撮影し,その動画データ1点を同端末に記録させて保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの並びに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した
ものである。
(証拠の標目)《略》
(適用法令)
1 罰条
第1のうち
児童買春の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項3号
児童に淫行をさせる行為の点 児童福祉法60条1項,34条1項6号
第2のうち
児童買春の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項2号・1号
児童に淫行をさせる行為の点 児童福祉法60条1項,34条1項6号
第3 刑法60条,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項2号・3号
2 科刑上一罪の処理
第1,第2 いずれも刑法54条1項前段,10条(1罪として重い児童福祉法違反罪の罪で処断)
3 刑種の選択
判示各罪 いずれも懲役刑を選択
4 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第2の罪の刑に加重)
5 刑の執行猶予 刑法25条1項
6 訴訟費用 刑事訴訟法181条1項本文(負担)
(量刑の理由)
平成29年7月4日
山形地方裁判所刑事部
裁判官 兒島光夫