連邦最高裁は,性表現一般を修正1条から除外するのではなく,わいせつな表現だけを除外するというアプローチをとっている。いわゆる定義づけ衡量と呼ばれる手法である。一方,児童ポルノはその被写体となる子供が被害者となってしまうことから,わいせつと異なり,具体的な保護法益が存在する。しかも,傷つきやすい存在たる子供を保護するための規制であることから児童ポルノ規制は認められやすい。実際,児童ポルノは単純所持を規制することすら合憲とされており,わいせつよりも幅広く規制されている。
ところが,コンピューター技術の発展により,架空の児童を用いたバーチヤル児童ポルノが登場した。そこでは,具体的な被害者が存在しないことから,バーチヤル児童ポルノ規制の正当化は難しくなってきた。これに対し,連邦最高裁はどのような判断を行うのであろうか。また,違憲とされた場合,政府はどのような対応を行うだろうか。本章では,児童ポルノ規制をめぐる司法と立法の対応を考察しながら,そこで用いられるカテゴリカルアプローチや過度広範ゆえに無効の法理を分析する。