児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑集73巻5号登載予定 ひそかに児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為と同法7条5項の児童ポルノ製造罪の成否 判例タイムズ1471号p18

姿態をとらせて製造罪の場合は、複製時点で姿態とらせてないという問題でしたが、ひそかに製造罪の場合は、複製時点でも被害児童からみて「ひそかに」であることは間違いないわけで、構成要件に欠けるという問題はないのですが、複製をひそかに製造罪だとすると、不可罰とされていたはずの単純複製行為が全部ひそかに製造罪になってしまい、処罰範囲が広すぎるという問題が出てきて、最高裁が「ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が, 当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は, 同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる」という判示をして穴をふさいだ感じです。立法ミスじゃないかなあ。

ひそかに児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を
別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為と同法7条5項の児童ポルノ製造罪の成否 判例タイムズ1471号p18
対象事件|
令和元年11月12日決定
最高裁判所第一小法廷
平成31年(あ)第506号
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持被告事件
裁判結果|
上告棄却
原審|
名古屋高等裁判所平成30年(う)第383号
平成31年3月4日判決
第1審|
名古屋地方裁判所平成30年(わ)第579号,
平成30年(わ)第888号
平成30年11月5日判決
公刊物|
刑集73巻5号登載予定
参照条文|
児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項, 7条2項, 5項





3  5項製造罪と同じように製造手段が限定されている児童ポルノ法7条4項の製造罪(児童に全裸姿態等をとらせ, これを記録媒体等に描写することにより児童ポルノを製造する罪。以下「4項製造罪」という。)においても,本件と同様二次的製造行為について同罪が成立するか否かという問題があり, 4項製造罪に関する立法関与者の解説では,複製は除外されるとの見解が示されていた(森山眞弓ほか編著「よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法』100頁, 島戸純「「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律』について」譽察学論集57巻8号96頁)が,最高裁第三小法廷平成18年2月20日決定・刑集60巻2号216頁,判タ1206号93頁は, 「法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ, これを電磁的記録にかかる記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる」として, 3項(現4項)製造罪の成立を認める判断を示した。
5項製造罪においても, 4項製造罪と同様,複製の問題が生ずることが予想されたところ,立法関与者の解説を見ると, 5項製造罪は,手段の限定がされているため,盗撮により製造された児童ポルノを後に複製する行為は,基本的に本条項の処罰対象ではないと考えられるが,少なくとも,撮影者本人による「製造」として予定される一連の行為までもが5項製造罪の対象から除外されるものではないと考えられるとの見解が示され,平成18年判例が紹介されている(坪井麻友美「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」法曹時報66巻11号57頁)。
4本決定は, 「ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる」と判示し,原判決の判断を是認しているが,平成18年判例と同じような表現を用いていることから,同判例と|司様,盗撮をして製造を行った者が, その電磁的記録を別の記録媒体に複写するなどして二次的製造行為に及んだ場合には,「ひそかに児童の姿態を描写することにより児童ポルノを製造した」と法的に評価できるとして,5項製造罪の成立を認めたものと思われる。
5 5項製造罪は,平成18年判例後の法改正で新設されたものであるが, 4項製造罪と同様の論点が残る形で立法がなされていることからすると, 5項製造罪に関する法令解釈を示した本決定は,実務上重要なものと考えられる。