児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自首するという相談に対して「後悔とは違った、ほんとうの反省が必要です」という弁護士の回答

 自首の要件としては、法律上、「反省」は必要ありません。普通は反省しているから自首するというわけですが。
 反省の程度については、弁護士のアドバイスで正しい方向で検察官の処分のときまでに深めておけばいいと思いますね。自首するのに最初からそこまでしなくても自首になるし、要領だけ誤らなければ逮捕される危険は減るでしょう。
 

刑法第42条(自首等)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
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判例コンメンタール第1巻P397
自首の意義
本条は、自首の要件とその効果を定めたものである
自首は、(1)罪を犯した者(犯人)が、(2) 捜査機関に発覚する前に、(3) 捜査機関に対して、(4)自発的に自己の犯罪事実を申告し、(5)訴追を含む処分を求めることであるとされる
・・・
条解刑法
(b) 申告の動機
自首は必ずしも反省悔悟に出たものであることを要しない。例えば,自動車を運転中.交通監視の警察官を見て自己の覚せい剤使用が露見したと錯覚し,この上は犯行を申告して警察官の処置に委ねるほかないと観念して直ちに減速徐行しその走行を不審に思い停止を命じた警察官の指示に従って停止した上,犯行について全く知るところのない警察官に犯罪事実を申告したような場合も,自首は成立する(福島地判昭50・7・11判時792-112)。強盗事件の犯人が,被害者の一部と関わりのある暴力団関係者から拉致,監禁,暴行を受けるなどして追いつめられた状況になったことから,これから逃れるため警察に出頭して強盗事件について自供し.その処分を捜査機関に委ねた場合, 自首が成立する(東京高判平5・11・30判時1506-150)。

Q 2013年05月22日 01時29分
非常に情けなく、悔やんでも悔やみきれず自首を考えています。
そこでいくつか質問させて下さい。
質問1
このような場合、捜査機関が私を、非常に混雑した駅構内の監視カメラや目撃者証言などで特定するまでにはどの位かかるのでしょうか(前科なし、初犯です)。
質問2
自首に際しては弁護士に付き添っていただくのが望ましいのでしょうか?

A弁護士の回答 2013年05月22日 02時20分
まず、後悔とは違った、ほんとうの反省が必要です。真の反省とは、なぜ、そのようなことを行ったのか原因を明確にする。それはあなたが自己の欲望を優先させ、被害者の権利を侵害をしたのだということ、つまり思いやりがない人格であったというところに行き着きます。また、ばれなければよい、捕まらなければよいという心理があるから実行したのです。ばれたらどうなる大変なことになる、家族はどう思う、迷惑がかかるかもしれないということ、こうした思いやりがなく、実行を思いとどまれなかったのです。
 こういう真の反省という観点からすると、捜査機関の動きを心配しているというのは、なんとか逃げれないかという考えが根本にあります。
 真の反省をして、自首した場合、重大犯罪というわけではありませんから、逮捕交流するまでの事件ではありません。反省もせず、逃げようとしているから、逃亡や証拠隠滅の疑いで逮捕勾留するのです。
この考え方からすると、質問1 このことを気にしていることが反省していなと言わざるを得ない。気にしても無意味である。質問2 真の反省をさせてくれる弁護士なら依頼して同行してください。質問3 勾留されないのなら、小細工する必要はないでしょう。会社にばれて何らかのペナルティがあっても、それはほんとうに反省しているなら甘受すべき自らに対する更生のための試練であると思っていただけると思います。

A弁護士の回答 2013年05月22日 21時56分
質問者は起訴されてから自首となって減刑される、そのために必要な要件が知りたいのではないでしょう。
そもそも逮捕や起訴されたら大変なことになるから、そうならないようにするには、どうしたらよいか、自首はすれば、逮捕や起訴されないのではないかと期待している。
しかし、自首(要件を満たす)したからと言って、逮捕も起訴もされない保証はないわけで、捜査官や検察官が逮捕や起訴しない決定をしてくれるのは、どういう場合かが知りたいことであるはずです。おのずとすべきことはわかるはずです。

 任意的減軽事由ですし、罰金の最低限(1万円)から減軽する必要はないので(そんな罰金安すぎて意味が無いので起訴猶予になる)、自首しても自首減軽はありません。量刑上考慮されるだけです。

刑事判決書起案の手引(司法研修所編・平成19年度版)P62
2 注意事項
356 (2) 裁量的減軽事由によって刑の滅軽をするのは,法定刑の下限を下回る刑で処断する必要がある場合に限ってこれを行うのが透例である。