児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公務員である教員と学校外で行われた生徒との淫行について「その職務を行うについて」された行為に当たるとした事例(某地裁H22)

 本件性行為は十数回らしいです。
 訴額500万円、損害額の内訳にある支払い済みの弁護士費用は80万円。認容額は50万円。
 刑事事件は青少年条例違反2件で執行猶予。

(2)ところで,国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が,その職務を行うについで,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた場合,国又は公共団体が,これを賠償する責任を負う旨規定し,同法3条1項は,その場合において,公務員の選任又は監督に当たる者と,公務員の俸給,給与その他の費用を負担する者が異なるときは,費用を負担する者も,その損害を賠償する責任を負う旨規定する。
そして,被告が「公権力の行使に当たる公務員」に当たること,本件性行為が,原告児童に対する不法行為に該当することについては当事者間に争いがない。
したがって,本件においては,本件性行為が被告の「職務を行うについて」されたものと評価できるか否かが問題となるところ,「職務を行うについて」された行為には,公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず,自己の利を図る意図をもってする場合でも,客観的,外形的にみて,職務行為に社会通念上関連する行為を含むと解すべきである
(3)これを本件についてみると本件性行為それ自体は被告(教員)の勤務時間外に本件学校外で行われたものであり,原告児童と被告との間の私的な関係に基づくもののようにも思われる。
しかしながら,一般に学生は,心身共に未成熟で判断力も十分に備わっていない段階にあるから,学生を指導する立場にある教員は,勉学のみならず生活全般に関しでも,必要に応じて教育指導を行うごとが要請されて臨時の期限付き講師である被告にも妥当し,学校内での教育活動に留まらず,教師としての立場で関学校外における生徒の生活関係にも及んでいるものと解される
そして,前記認定事実によれば,原告は,修学旅行の際の会話で原告に親近感を抱き,本件学校内でにメールアドレスを教え,友人関係や家庭関係の悩みを相談するようになったものであるところ,生徒の悩みの相談に応じることは,それが学校外で行われたものであっても,客観的,外形的に教師の職務行為に通常関連するものである。実際被告は,外形上,教師としての立場で原告からの相談に応じ,助言するなどしていたものと考えられる。
また,前記認定事実のとおり被告が,原告に対して離婚していると虚をつき独身を装っていたこと,原告とメールをやりとりするようになって1か月も経たないうちに同女にキスをしたり,同女をラプホテルに連れ込んでわいせつな行為をするようになり,やがて頻繁に性交する関係に至っていること,本件性行為は全て被告からの要求や働きかけによるものであったこと,被告は原告とは別の学生とも性行為に及んでおり,その関係を疑った当時の勤務先の校長から指導を受けていたにもかかわらず,その関係を継続するとともに原告とも本件性行為をじていたことなどの事情に照らせば,被告は,原告と肉体関係を持つことを主たる目的として,原告から相談を受けたり交際の申し出に応じるなどし,本件性行為をするような関係を築いたものと推認することができる。このような被告の意図目的かちすれば,本件性行為を被告と原告との私的な関係に基づくものと評価することは相当ではなく,原告らの相談に応じ,メールをやりとりしていた行為と,本件性行為は教師としての職務上の地位を利用して行われた一連の行為として評価すべきである。
以上のとおり,本件性行為は,客観的,外形的にみて,職務行為に社会通念上関連する行為に当たると解されるから「その職務を行うについて」された行為に当たるというべきである。
・・・
(1) 原告について
本件性行為の内容及び態様は, 前記判示のとおり, 極めて悪質なものであり, 当時.. 歳であり, 肉体的にも, 精神的にも十分に成熟していなかった原告が被告の行為によって受けた精神的苦痛は極めて大きいものがある。
これらのほか, 本件に顕れた一切の事情を考慮すると, 本件性行為によって原告受けた精神的苦痛を慰謝するには,50万円をもってするのが相当である。