児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

高松発羽田行きの航空機内は「兵庫県」か?

 形式的には兵庫県の領域でしょうが、兵庫県民が乗り降りできないのだから兵庫県の「県民生活の安全と秩序」は害されませんよね。
 2万フィートとか3万フィート上空は「兵庫県」としても、大気圏外ではどうかとか考えますよね。
 そういう問題があるので、航空法で「航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの」が禁止されていると思うんですけど。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120912-00001371-yom-soci
当時は兵庫県上空だったとして同県の条例を適用した。飛行中の機内での盗撮行為が摘発されるのは全国初という。
 同署幹部によると、容疑者は10日午前8時過ぎ、兵庫県上空を飛行中の高松発羽田行きの日航機内で、ボールペン型の小型カメラで機内サービス中の女性客室乗務員(27)のスカートの中を盗撮した疑い。近くの乗客が気付き、羽田空港に到着後、同署員に引き渡された

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120912-00000581-san-soci
盗撮犯罪を取り締まる迷惑防止条例は各都道府県がそれぞれ別に制定しているが、同署は、飛行機が兵庫県上空を飛行していた際の事件と判断して、同県の条例を適用した。同署によると、飛行中の盗撮事件での逮捕は全国初という。容疑者は「女性の制服姿が好きだった」などと容疑を認めている。
 逮捕容疑は、10日午前8時10分ごろ、高松市を離陸して兵庫県上空を飛んでいた航空機内で、ボールペン型のカメラを使って、客室乗務員の女性の後方からスカートの中を盗撮したとしている。
 同署によると、近くにいた乗客が現場を目撃。容疑者は羽田空港(東京)に到着後、逮捕された。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00231381.html
実は、飛行中の機内での盗撮行為による逮捕は、今回が初めてとみられる。
盗撮などを取り締まる迷惑防止条例は、各都道府県で風紀を取り締まるための条例となっている。
そのため、これまでは機体が空港で地上にいる時は条例が適用され、機内で逮捕することができたが、飛行中は難しかった。
東京地検特捜部の若狭 勝弁護士は「(飛行中の機内の犯罪は)行われた場所が、どこだったか特定しづらい。どこの県の条例が適用になるかということで、(立件の)難しさがともなってくると。事実上見過ごされて、いわばそれが放置されてきている」と話した。
インターネットで検索してみると、「CA盗撮画像」といったタイトルがずらりと出てきた。
ページを開いてみると、客室乗務員の足元をのぞき込んだような画像など、数え切れないくらいの盗撮画像が紹介されていた。

http://www5.e-reikinet.jp/cgi-bin/hyogo-ken/D1W_resdata.exe?PROCID=607097174&CALLTYPE=1&RESNO=75&UKEY=1347543213413
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例をここに公布する。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて県民生活の安全と秩序を維持することを目的とする。
(暴力的不良行為等の排除)
第2条 すべて県民は、平穏で健全な生活環境を確保するために、不断の努力と相互の協力によつて、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等をなくするようにしなければならない。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第3条 何人も、道路、公園、広場、駅、空港、埠(ふ)頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)において、多数でうろつき、又はたむろして、通行人、入場者、乗客その他の公衆に対して、言い掛かりをつけ、すごむ等の不安を覚えさせるような言動をしてはならない。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対して、不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
3 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、刃物、鉄棒その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対して不安を覚えさせるような仕方で携帯してはならない。
4 何人も、祭礼又は興行その他の娯楽的催物に際して、多数の人が集まつている公共の場所において、正当な理由がないのに、人を押しのけ、物を投げ、物を破裂させる等により、その場における混乱を誘発し、又は助長するような行為をしてはならない。

http://www.police.pref.hyogo.jp/kunrei/data/M6343030.pdf
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の施行について(例規
昭和 38 年7月11日
兵 警 防 例 規 第 号 3 0
(概要)
この例規は、県民の不安を除去し、公共の安全と秩序を維持して県民の負託にこたえるため、条例の適正な運用について必要な事項を定めたものである。

航空法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO231.html
(安全阻害行為等の禁止等)
第七十三条の三 航空機内にある者は、当該航空機の安全を害し、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産に危害を及ぼし、当該航空機内の秩序を乱し、又は当該航空機内の規律に違反する行為(以下「安全阻害行為等」という。)をしてはならない。
第七十三条の四 機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる。
2 機長は、前項の規定に基づき拘束している場合において、航空機を着陸させたときは、拘束されている者が拘束されたまま引き続き搭乗することに同意する場合及びその者を降機させないことについてやむを得ない事由がある場合を除き、その者を引き続き拘束したまま当該航空機を離陸させてはならない。
3 航空機内にある者は、機長の要請又は承認に基づき、機長が第一項の措置をとることに対し必要な援助を行うことができる。
4 機長は、航空機を着陸させる場合において、第一項の規定に基づき拘束している者があるとき、又は同項の規定に基づき降機させようとする者があるときは、できる限り着陸前に、拘束又は降機の理由を示してその旨を着陸地の最寄りの航空交通管制機関に連絡しなければならない。
5 機長は、航空機内にある者が、安全阻害行為等のうち、乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為その他の行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために特に禁止すべき行為として国土交通省令で定めるものをしたときは、その者に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該行為を反復し、又は継続してはならない旨の命令をすることができる。

航空法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27F03901000056.html
(安全阻害行為等の禁止)
第百六十四条の十五  法第七十三条の四第五項 の国土交通省令で定める安全阻害行為等は、次に掲げるものとする。
一  乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為
二  便所において喫煙する行為
三  航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの
四  航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれがある携帯電話その他の電子機器であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく作動させる行為
五  離着陸時その他機長が安全バンドの装着を指示した場合において、安全バンドを正当な理由なく装着しない行為
六  離着陸時において、座席の背当、テーブル、又はフットレストを正当な理由なく所定の位置に戻さない行為
七  手荷物を通路その他非常時における脱出の妨げとなるおそれがある場所に正当な理由なく置く行為
八  非常用の装置又は器具であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく操作し、若しくは移動させ、又はその機能を損なう行為
第百六十四条の十六  機長は、法第七十三条の四第五項 の規定により命令をするときは、同項 に規定する安全阻害行為等をした者に対し、次の事項を記載した命令書を交付しなければならない。
一  当該行為者が行つた安全阻害行為等の内容
二  当該行為を反復し、又は継続してはならない旨

009/009] 153 - 参 - 国土交通委員会 - 4号
平成13年11月08日
○池口修次君 それに若干関連をするんですけれども、ハイジャックまでは至らなくても、飛行機の機内で迷惑な行為をするということが昨年でも五百七十件程度あったというふうに聞いておりまして、年々ふえているというふうに思います。やはりこれを放置しておきますと、ハイジャックまでは行かないかもしれませんけれども、だんだんエスカレートするとそうなるというふうに思います。
 民主党として機内迷惑行為防止法案を今準備をしているところでございますけれども、国土交通省として、この機内迷惑防止に対して何らかの手を、今は飛行機をおりてもらうということでしかないようでございますけれども、何か対策を考えていただいているのかというのをお聞かせ願いたいというふうに思います。
○池口修次君 ハイジャック関連につきましては以上にさせてもらいますけれども、九月十一日を境に、ハイジャックというのがある意味、乗客の安全を考えるというところから、やはりこのハイジャックによって、場合によっては国の安全にも大きな影響を及ぼすというふうに事態は変わってきたというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほども質問をさせていただきましたけれども、もう少し国が直接的に安全を確保するという観点での方策にステップアップをするような検討が私としては必要であるし、そのことが利用者が安心して飛行機を利用できるということになるんではないかなというふうに思っております。ぜひ、そういうふうな観点での前向きな検討をお願いをさせていただきたいというふうに思います。

001/002] 156 - 衆 - 国土交通委員会 - 25号
平成15年05月27日
○今田委員 国際民間航空機関が採択をしました航空機内犯罪に関するモデル法制案というのでは、酩酊あるいはセクハラ行為全般を犯罪として規定されております。この法案の施行後、機内迷惑行為や安全阻害行為の発生状況の推移を見て、これらの行為に対しても罰則を加えるということを将来的に我が国でも検討すべきではないかという考えを持っているんですが、このことについてどうですか。
○洞政府参考人 これまでも航空会社におきましては、昨年の二月に航空業界に対しまして私どもの方から通達いたしました機内迷惑行為防止に関する行動指針というものに基づきまして、泥酔者に対しては、運送約款に基づき搭乗拒否を行うほか、必要に応じて機内におけるアルコール提供を自粛するなどの対応をとっておりますほか、機内迷惑行為対処マニュアルというものを作成して、機内での迷惑行為に対しても適切に対応するほか、このための教育訓練というものをあわせて行っていらっしゃるところでございます。
 今後とも、国土交通省といたしましては、このような機内安全阻害行為等の実態把握を引き続き行いまして、航空法及び航空法の施行規則を社会情勢の変化に応じて適切に見直しを行うよう努めるとともに、その際、酩酊行為とか、先ほどの機内のセクハラ行為等の航空機内の秩序を著しく乱す行為に対する罰則の適用につきましても、その適用を含めて検討を加えることとしてまいりたいと考えております。


追記
 結局、特定できませんでしたとさ。窓から淡路島が見えていても、真下が兵庫県とは限らないということでしょうか。 

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121012-OYT1T00787.htm?from=blist
空の上、CA盗撮地点特定できず…社長釈放
 警視庁東京空港署が9月、航空機内で女性客室乗務員のスカートの中を盗撮したとして、飛行中の機内での盗撮行為として全国で初めて逮捕した自称会社社長の男性(34)が、処分保留で釈放されていたことが捜査関係者への取材でわかった。
 兵庫県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕されたが、盗撮した地点が特定できないと検察が判断したためという。
(2012年10月12日13時42分 読売新聞)

 篠山だと、京都府との府県境ですね。これは入り組んでるのでやっかいです。
 航空法は難しいらしいですね。制定当時にも盗撮被害の問題はあったのに盗撮だけは除外したんでしょうか?

機内で盗撮容疑の男、処分保留で釈放 場所の特定できず
2012.10.12 朝日新聞
 盗撮の摘発には、発生した場所の都道府県の迷惑防止条例が適用される。だが、飛行中の旅客機内では、どこの上空だったのかの特定が難しく、逮捕された例はなかった。今回は目撃者や乗務員の証言から、盗撮した時刻を午前8時9分と特定し、航路の分析から盗撮地点を兵庫県篠山市上空と断定して同県の条例違反容疑での逮捕に踏み切った。
 しかし、捜査関係者によると、検察側は、正確な時間や場所の特定ができず、兵庫県の条例違反に問えるか疑問が残ると判断し、逮捕から10日後に処分保留のまま釈放したという。このまま不起訴となり、罪に問われない公算が大きい。

 ●法令に抜け穴「対策必要」
 時速約900キロで飛ぶ旅客機内での盗撮は、摘発の網を逃れ続けてきた。

 「後ろ姿じゃダメだな。近くに来たらもう一度盗撮してみよう」「CA(客室乗務員)がサービスに回ってくるぞ。盗撮チャンス」。インターネット上には、機内で女性客室乗務員を盗撮したとする画像があふれる。ある航空会社の担当者は「トイレ内に小型カメラを取り付けられたこともある」と打ち明ける。

 カメラつき携帯電話やスマートフォンの普及が、盗撮をより容易にしているが、対策は遅れている。

 機内での携帯電話の利用や乗務員へのセクハラ行為については、2004年施行の改正航空法で、罰金を科すことのできる「安全阻害行為」に盛り込まれた。だが、盗撮については明確な規定がないままだ。

 全日空広報室によると、盗撮行為を確認した場合は「航空機内の秩序を乱す行為」ととらえ、機長名の「警告書」を出し、着陸後に警察に引き渡すケースが多いという。だが、警察当局は各都道府県の迷惑防止条例で対応せざるを得ない。そこでは1分間に約15キロの高速で移動する旅客機の特性が壁になる。

 さらに問題なのが国際線だ。国土交通省航空保安対策室によると、公海上の盗撮行為には、そもそもどの都道府県の条例も適用されない。ある航空会社の担当者は「厳重注意するしかない」と言う。

 航空各社でつくる定期航空協会は「法律や条例のすき間を狙うような悪質な行為が相次いだ場合は、対策を検討する可能性はある」と話す。

 警視庁の捜査幹部は「現状では、迷惑防止条例以外に打つ手がない。盗撮の禁止を航空法に明記するなど、何らかの措置が必要ではないか」と話す。

追記10/27
 まだ条例で対応するようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121027-00000040-mai-soci
乗務員らが正確な盗撮時間を覚えていなかったため、同署はベルト着用サインが消えた時間などから犯行時刻を午前8時9分と割り出し、航跡図から兵庫県篠山市上空だったとして、同県迷惑防止条例を適用し、逮捕した。飛行中の盗撮逮捕は全国初だった。

 しかし、東京区検は男を釈放した。篠山市兵庫県の東端に位置し、分速約15キロで飛行する航空機なら約1分で大阪府京都府に移動してしまうため、「篠山市上空との特定が不十分」と判断したとみられる。押収された男のパソコンからは、他に盗撮したとみられる画像も大量に見つかっただけに、捜査関係者は「県境でなければ」と悔しがる。
・・・・
 だが、飛行中の航空機内での盗撮が起訴された例は過去にない。取り締まりの根拠となる条例が全都道府県ごとに定められているが、高速で移動しているため、どの自治体の上空で盗撮が行われたかを確認することが困難だからだ。

 盗撮行為について大手航空会社の広報担当者は「発見すれば機長名の警告書を渡すが、必ず警察に引き渡すとは限らない」と泣き寝入りの実態があることを認める。捜査関係者は「ショックでPTSD(心的外傷後ストレス障害)になった乗務員もおり被害は深刻」と危機感を強める。

 同署は航空会社から被害報告を受けるたびに区検と事件化を協議。「犯行時刻が分かれば場所は特定できる」との結論で一致してきたが、被害者が盗撮された時間を覚えていることは少ない。

 「時間確認」の呼び掛けは、こうした状況を受けた苦肉の策。周りの乗客も一緒に時計を見れば、有力な証拠となる可能性が高い。捜査関係者は「アナログな手法だが、現状の条例の範囲内で立件するには最も有効」と強調する。