児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

3項製造罪と強制わいせつ罪の罪数は、ほぼ観念的競合が主流になって、目下の論点は、撮影後複製している場合にも科刑上一罪になるか?です。

 こういうのはだいたい観念的競合で処理されていると思います。判例は仙台高裁、名古屋高裁、高松高裁。

 被告人は,平成22年10月31日午後零時15分ころ,大阪府大阪市北区所在の山林において,A子(当時6歳)に対し,同人が13歳未満の児童であることを知りながら,同人の衣服を脱がせて,その胸部及び陰部等を手指でもてあそぶとともに,なめ回した上,同人に陰部を露出させる姿態をとらせて,その陰部をデジタルカメラで撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のSDカードに記録し,もって13歳未満の女子に対しわいせつな行為をするとともに,衣服の全部又は一部を着けず,性欲を興奮させ又は刺激する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により電磁記録に係る記録媒体に描写し,前記児童に係る児童ポルノを製造したものである。

 次の争点は

 被告人は,平成22年10月31日午後零時15分ころ,大阪府大阪市北区所在の山林において,A子(当時6歳)に対し,同人が13歳未満の児童であることを知りながら,同人の衣服を脱がせて,その胸部及び陰部等を手指でもてあそぶとともに,なめ回した上,同人に陰部を露出させる姿態をとらせて,その陰部をデジタルカメラで撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のSDカードに記録し,さらに11月2日被告人方において上記SDカードの画像をパソコン内蔵のHDDに複製し、もって13歳未満の女子に対しわいせつな行為をするとともに,衣服の全部又は一部を着けず,性欲を興奮させ又は刺激する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により電磁記録に係る記録媒体に描写し,前記児童に係る児童ポルノを製造したものである。

のような場合にも科刑上一罪(観念的競合)になるかです。

10/31強制わいせつ罪
   |
  (観念的競合)
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10/31製造罪(撮影)−(包括一罪)− 11/2製造罪(複製)

という罪数カウントでいいのか。
 併合罪説は、福岡、広島など。

 強制わいせつ罪は10/31、製造罪は10/31〜11/2の行為なので、一個の行為と言えるかということですが、札幌高裁H19.9.4は児童買春罪との関係ですが、複製行為も含めて、観念的競合としています。
 正確に言えば

10/31児童買春罪
   |
  (観念的競合)
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10/31製造罪(撮影)−(包括一罪)− 11/2製造罪(複製)

という連結で科刑上一罪になると言うべきです。

 強制わいせつ罪と3項製造罪(撮影・複製)については、四国で観念的競合の裁判例がでそうです。