東京高裁の植村部長の判決だと、3項製造罪の単独正犯になる理由はやっぱり欺罔とか脅迫による間接正犯構成ですよね。
判示第3
前記被告人方において,D(当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,携帯電話機の電子メールにより,「送らんなら裸 学校に送るし」などと申し向けて脅迫し,同児童をしてこれに応じなければ,自己の名誉,身体等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨畏怖させ,同月12日から同月14日ころまでの間,別表2記載のとおり,6回にわたり,同児童をして,○県内所在の同児童方において,その所有する携帯電話機のカメラ機能で,同児童の着衣を着けない乳房及び陰部を露出した姿態を撮影記録させ,さらに,その携帯電話機から電子メールで,被告人の所有に係る携帯電話機あてに同撮影に係る画像3枚及び動画3個の電磁的記録をそれぞれ送信させ,そのころ,前記被告人方において,前記画像3枚及び動画3個の電磁的記録を被告人の所有に係る携帯電話機で受信した上,同携帯電話機内に記録蔵置しもって,同児童をして,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態をとらせるなどして義務なきことを行わせるとともに,同姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した
弁護人の主張
要するに、被害児童をして被告人に送信させた行為は、1項提供罪(特定少数)に該当する行為であるから、3項製造罪とは評価できない。
さらに、被害児童を強要して実現した犯罪は、被告人に提供する目的で撮影させているから、3項製造罪ではなく、2項製造罪である。
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は,判示第3の事実について,事実関係についてはこれを認めるとしつつ,罪名及び犯罪を構成する範囲等について,本件では,被害児童にカメラ機能付き携帯電話機で乳房等を露出した姿態を撮影させた時点で,児童ポルノ法7条2項の児童ポルノ製造罪が既遂となるなどとして,被告人には同法7条3項の児童ポルノ製造罪は成立しない旨の主張をしていると解される。
しかしながら,関係各証拠によれば判示第3の事実を優に認定できるところ,本件では,児童ポルノを自己の使用するパーソナルコンピューターに内蔵されたハードディスクに保存する意図を有する被告人が,被害児童に乳房等を露出した姿態等を携帯電話機で撮影させて,その画像データを被告人宛送信させ,さらに同データをパーソナルコンピューターで受信し,同データをハードディスクに記録するという方法でもって,最終的に被害児童の姿態を描写し,児童ポルノを製造する行為を完成させたというべきである。よって,被告人は,判示第3の事実関係を前提に,強要罪は勿論,児童ポルノ法7条3項の児童ポルノ製造罪の罪責を負う。
強要がついてるのは端的に強制わいせつ罪にすればこういう悩みは出てこない。