児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

香城敏麿 憲法解釈の法理P533

憲法解釈の法理P533
私見の結論
私見によると、骨格案には憲法上の疑義がある。
骨格案の大筋を維持し、できる限り裁判員の意見を尊重する方向で考え、かつ憲法上の疑義を除いた制度を考えると、採りうる方策は二つあると思う。
その一は、評決の仕方を骨格案とは変えることである。
すなわち、裁判官と裁判員のそれぞれの数によって議論が異なるので、大筋のみを述べると、裁判官の過半数が無罪の意見であって、裁判員過半数が有罪の意見の場合には、判決を無罪とすれば違憲ではないが、それでは国民の意見が無視されることになるので、裁判の不成立とし、審理をやり直すのが妥当であろう。裁判官の過半数が有罪の意見であって、裁判員過半数が無罪の意見の場合には、判決を無罪とすれば違憲ではなく、国民の意見が尊重されることになるが、その場合でも合議体が裁判をするという基本原則を維持するには、裁判の不成立とし、審理をやり直すのが妥当であろう。裁判官と裁判員の数は、憲法論との関係でも、重大な検討課題なのである。
 方策のその二は、被告人が選択する場合にのみ裁判員制度を適用し、被告人がそれを選択しなければ裁判官のみによる裁判とすることである。それは、憲法論からみて妥当であるばかりか、被告人を含む国民自身が裁判員制度と裁判官裁判とを比較検討し、国民自身が選択する裁判のあり方を決することに資し、政策論としても妥当と考える。私は、この方策を選びたい。