なんでも言っときますか。
大沢秀介ら「憲法.com」P286
設計段階の最高裁は、市民の司法参加に対して消極的だった。英米流の陪審制度はもちろん、大陸流の参審制についても、参審院に評決権をもたせると憲法上の疑義が生じると示唆する一幕もあった。こうした事情は、裁判所が憲法判断を下す正統性に一定の制約を与えることになる。
2.前提となる論点
① 審査基準と証明責任
まず、憲法判断に適用すべき審査基準について論じておこう。
(a)厳格な審査基準の主張:重大な犯罪を対象とする戴判貝制度では、被告人の生命、自由、財産を左右する法定刑が争われる。そうであれば、制度の合憲性は厳格に審をされるべきであり、証明責任も、被告人が違憲性を証明するのではなく、国・検察側か合憲性を証明する責任を負うべきだということになる。さらに、裁判員制度では、多くの手続が非公開とされる。・・・・② 日本国憲法は市民の裁判への参加を予定しているか
(a) 違憲論:日本国憲法には、国民の裁判への参加を明示的に根拠付ける規定がない。むしろ、憲法32条は「何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」と規定し、その「裁判所」に関わる憲法第6章には、職業裁判官についての定めしかなされていない。ここから、憲法は一般市民による裁判への参加を排除するものだとの主張がなされ、これまで裁判員制度の合憲性をめぐる中心論点となってきた。・・・・