児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷罪・示談金30万円・懲役3年執行猶予5年保護観察(高知地裁H22.1.21)

 示談金の相場なんてないという話です。強姦罪でも10万円とかの例を見たことがあります。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20100121-OYT8T01245.htm
<法曹3者がコメント>
 判決後、地検、弁護側、地裁が談話を発表したり、取材に応じたりした。
 小野正弘次席検事は「実刑か執行猶予か難しい事案で、裁判員はずいぶん悩んだと思うが、評議を尽くした結果だろう。年齢、男女比もバランスがとれていたようで、市民感覚が反映されたと受け止めている。今後も分かりやすい立証はもちろん、性犯罪事件では被害者の不安を払拭(ふっしょく)できるよう努めたい」とした。
 弁護側の岩崎淳司・主任弁護士は「長かったが、やるだけのことはやったと充実感がある。裁判員の質問は、裁判官や検察官の思いつかないような内容。お母さんや証人の女性に、質問という形でエールを送っているように聞こえた」、高宮大輔弁護士は「性犯罪は刑が重くなると思っていたが、執行猶予がついてほっとした」と話した。
 伊藤裁判長は「裁判員、補充裁判員が真剣に取り組んでいただき、たいへん感謝している」とコメント。

強制わいせつ致傷結審 断酒の決意を被告に問う 裁判員的確に熱心に=高知
2010.01.21 読売新聞
 ◆論告求刑(要旨)
 事実関係に争いはなく、量刑が争点だが、被害結果は、被害者に多大な屈辱感と恐怖感を与えたうえ、顔などに1週間のけがを負わせたもので重大。犯行は、夜間、市街地の路上で被害者を襲って駐車場に連れ込んだ上、執拗(しつよう)にわいせつな行為をしてけがをさせたもので、大胆かつ卑劣で危険極まりない。被害者に落ち度は全くなく、動機は身勝手かつ理不尽で、法律を守る意識は低く、再犯の恐れも高い。示談が成立しているものの、酒に酔っていたことなどを量刑上、有利な事情として考慮するのも相当ではなく、法定刑(無期または3年以上の懲役)の下限よりは重く処罰すべき。懲役4年が相当。

 ◆最終弁論(要旨)
 被告人に強制わいせつ致傷の罪が成立することに争いはない。酒に酔った状態で、以前から好意を寄せていた女性とよく似た女性の後ろ姿に突き動かされた偶発的な犯行で、被害者の顔を見て我に返り、自発的に犯行をやめている。負傷は1週間程度で、結果が極めて重大とまで言えない。被害者への謝罪文をしたため、慰謝料30万円を支払い、寛大な処分が出ても異議ない旨の示談も成立している。飲酒が犯行原因の一つであると悟り、今後飲酒を控えることも決意しており、150人を超える知人の嘆願書もプレッシャーになることは間違いない。
 社会で更生する最後の機会として執行猶予付きの判決を頂きたい。