児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷罪執行猶予判決の理由(札幌地裁H22.6.18)

 被害弁償
 立ち入らないという公正証書

 弁償したが「反省や謝罪は表面的」と言われたようです。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/237369.html
判決理由で、辻川裁判長は「犯行態様は卑劣で悪質。被害者に多大な精神的苦痛を与えた」とした上で、「わいせつ行為は未遂で、損害賠償金を一部支払った。道内に5年間立ち入らないことを約束した公正証書も作成している」として、保護観察付き執行猶予判決が相当とした。
 判決では、検察側の「被告が背後から被害者に抱きついた」との主張を「被害者の記憶が正確か疑いが残る」として退けた。被害女性は、被害者参加人として出廷し、懲役4年が相当と主張。これについて、辻川裁判長は「同情できるが、実刑に処すべきものとはいえない」とした。

http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061801000634.html
公判では被害者本人も出廷し「(事件は)一生忘れられない。普通の生活に戻ることはない」と述べた。代理人弁護士も「反省や謝罪は表面的」と指摘、懲役4年の実刑判決を求めていた。
 判決によると、被告は昨年10月3日、札幌市の勤務先の倉庫で同僚だった20代女性の顔に催涙スプレーを吹き付け、わいせつ行為をしようとした。女性は逃げる際に転倒し、指をねんざするなどした。

初の猶予刑 強制わいせつ致傷罪 札幌地裁で裁判員裁判 /北海道2010.06.19 朝日新聞
 この裁判では、裁判員6人と補充裁判員2人について全員女性が選ばれていた。判決は「犯行は卑劣で悪質」としつつ、わいせつ行為自体は未遂で、治療費や損害賠償金の一部として計約136万円を被害者に支払っていると指摘。厳重処罰を望む被害者の心情は十分に同情できるが、だからといって実刑が相当とは思われないとして執行猶予を付けた。

http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20100619hog00m040003000c.html
判決理由で辻川靖夫裁判長は「犯行は卑劣で悪質」と指摘したが、わいせつ行為が未遂だったことや、被告が「被害者の住む道内に5年間立ち入らない」との公正証書を作成しているとして、「社会の中で更生させることが相当」と述べた。

量刑相場通りのようです。

強制わいせつ致傷1罪の裁判例
地裁H18.10.13懲役3年執行猶予4年保護観察 被害者20才 加療7日
地裁H20.8.7懲役3年執行猶予4年 被害者17才 加療7日
地裁H13.5.30懲役3年執行猶予4年 被害者24才 加療37日
地裁H16.7.23懲役3年実刑 被害者19歳 加療日数未定