児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被害児童が自発的に撮影・陳列した行為をわいせつ物公然陳列罪の正犯とした事例(神戸簡裁)

 管理者の児童ポルノ罪は起訴されませんでした。

自分の裸写真をネットに投稿 女子中学生ら書類送検 兵庫 【大阪】2007.02.08 朝日新聞社
 カメラ付き携帯電話で自分の裸の画像を撮影し、インターネットのホームページ(HP)に投稿したとして、兵庫県警は、神戸市北区の女子中学生ら14〜19歳(当時)の少女5人を、わいせつ図画公然陳列などの容疑で書類送検した。掲載したHPの管理者(32)を同容疑と児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕し、8日、神戸地検に送検した。

携帯で児童ポルノ サイト運営女逮捕 兵庫県 2007.02.08 産経新聞
 携帯電話のアダルトサイトで児童ポルノ画像などを公開していたとして、兵庫県警生活安全企画課と兵庫署などが、児童買春・児童ポルノ禁止法違反とわいせつ図画公然陳列幇助(ほうじよ)の疑いで、愛知県内に住む30代の店員の女を逮捕していたことが8日、分かった。

 幇助というのは判例違反なんですが、それは置くとして、個人的法益だから、自分でやる分には、自損(自傷)行為で犯罪不成立ということでしょうか。
 児童ポルノ罪の害・福祉犯の保護法益というのは、ガキの浅知恵で放棄できるような軽いものではありません。
 ということで、被害児童の承諾があっても、犯罪阻却しないし、被害児童が正犯や共犯となりうるのです。名古屋高裁金沢支部h17.6.9も同旨。

名古屋高裁金沢支部h17.6.9
(3)所論は,本件においては,被害児童が児童ポルノ製造に積極的に関与しており,共犯者であるのに,撮影者である被告人のみを処罰するのは不公平であり,憲法14条に違反するとする。しかし,本条の立法趣旨が,他人に提供する目的のない児童ポルノの製造でも,児童に児童ポルノに該当する姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為については,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値するというものであることからすると,児童は基本的には被害者と考えるべきである。そして,記録を検討しても,本件の被害児童が共犯者に当たるとすべきほどの事情は窺えず,また,被告人を処罰することが不公平で,憲法14条に違反するとも認められない。