児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春罪の罰金の上限は50万円か?

 こういう報道みると、裁判所は最高50万円の範囲内で量刑しているように見えます。

http://www.shizushin.com/local_social/20060415000000000014.htm
浜松の女子中学生買春 男3人に罰金命令
同簡裁は同日、3人に罰金40万―50万円の略式命令を出し、うち2人は仮納付した。

 しかし、法文上、罰金の上限は300万円です。

第4条(児童買春)
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

 どうして、「罰金50万」という数字が頻出するかというと、略式手続の上限が「罰金50万」だからです。

刑訴法
第461条〔略式命令〕 
簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、五十万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる

 ということで、罰金51万〜300万という量刑(正式裁判)は極めて稀で、略式不相当の場合は公判請求されて、懲役刑となっています。罰金刑の50万超の部分は機能していない。
 罰金刑から懲役刑に至る法定刑を持つ罪については、こうなる傾向があります。
 こんな高額な罰金刑を作ってくれた立法者は知っていたのかなと思います。