児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案

 命令を待たずに即、処罰されるのは6条違反の罪(送信者情報を偽った送信の禁止)だけです(32条)。
 いまのところ、国外犯処罰規定が見あたりません。
 ということは、ねえ・・・
 保護法益
   日本国内における
   電子メールの利用についての良好な環境
ということですか?

新旧対照

http://www.soumu.go.jp/menu_04/pdf/050311_1_d.pdf
(架空電子メールアドレスによる送信の禁止)
第五条 送信者は、自己又は他人の営業のために多数の電子メー
ルの送信をする目的で、架空電子メールアドレスをそのあて先
とする電子メールの送信をしてはならない。

(送信者情報を偽った送信の禁止)
第六条 送信者は、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行
うための手段として、電子メールの送受信のために用いられる
情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下
「送信者情報」という。)を偽って電子メールの送信をしては
ならない。
一 当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二 当該電子メールの送信に用いた電気通信設備(電気通信事
業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)を識別
するための文字、番号、記号その他の符号

提出時法案

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16205073.htm
第五章 罰則
第三十一条 第二十五条の規定による業務の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第三十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 一 第六条の規定に違反した者
 二 第七条の規定による命令に違反した者
第三十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第二十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 第二十六条の規定に違反して同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
 三 第二十八条第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

刑法

第1条(国内犯) 
この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。

 受信者が日本にいる、メールボックスが日本にあるということで、実行行為の一部が日本にあるとするならば、発信者に日本法を適用する可能性があるのですが、実行行為は「送信」ですから、難しいんじゃないでしょうか。