児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪

非親告罪化の遡及適用の論点は最高裁で判決(予定)になりました。

決定かと思ったら、判決期日の通知でした。 期日は最高裁webに掲載されると思います。 判決速報平成30年3号 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,県青少年健全育成条例違反,都青少年の健全な…

裁判員対象事件ではない(強姦・強制性交)のに、裁判所が裁判員事件用量刑DBを用いて量刑していると思われる事件

部類論は、h22ころから見受けられますが、最近では検索項目まで示したものもでています。 非対象事件の弁護人は量刑DBにアクセスできず検索項目について意見を述べられないのに、それで量刑されるというのは不満があります。 津地裁 H30.12.21 同種の事案(…

本件担当の最高裁調査官である馬渡香津子氏は、「『わいせつな行為』該当性を安定的に解釈していくためには、これをどのように定義づけるかよりも、どのような判断要素をどのような判断基準で考盧していくべきなのかという判断方法こそが重要である」と述べている(馬渡香津子「時の判例」ジュリスト1517号[2018年]85頁)。しかし、判断対象の定義を明らかにしないままで判断方法を論じることは、解釈の三段論法に反した非論理的な思考方法である。

耳なめとか足舐めとか写真送らせるとか、トイレの扉を開けて用便姿を凝視するなどの新型行為については、わいせつの定義が必要です。 控訴事件が来たら毎回聞くことにしていますが、バラバラです。広島高裁なんてわからないことを聞くなと逆ギレです。 ① 「…

白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させるという本件行為は,たとえ身体的接触がなく,短時間の行為であっても,第三者が視認できるかどうかや,被告人が陰部等を見ることができたかどうかにかかわらず,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為と評価することができるから,本件行為が既遂に達していることは明らかである。(福岡高裁R010618)

長崎地裁h31.2.21の控訴審と思われます。 okumuraosaka.hatenadiary.jp わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。という定義は、性的意図不要とした大法廷h29.11.29…

「耳なめ」はわいせつ行為(刑法176条)か?

わいせつの定義ないので困ります。 馬渡裁判官の解説によれば、「具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照」とされますが、耳なめは挙がっていません。 児童買春罪の構成要件は、わいせつ概念の曖昧さを回避するために行為を細かく特定してい…

下着露出が刑法犯というのは初耳です。。。【舟橋弁護士】例えば、胸や下半身などの陰部が見えてしまう、または明らかに下着が見えてしまう、などがNGラインと言えるでしょう。布一枚へだててほぼ下着が透けている、というものNGでしょう。こういった場合、刑法でいうところの『公然わいせつ罪』に該当する可能性があります。

昔から「接吻や乳房を露出する行為は,それのみではわいせつといえないであろう」「接吻や乳房露出などはわいせつ行為ではない。」と解説されています 軽犯罪法とか迷惑条例とかを検討してみてはどうでしょう。 http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/20…

医師が強制わいせつ致傷罪で起訴された場合の行政処分の見込み

医師が強制わいせつ致傷罪で起訴された場合の行政処分の見込み 医師の刑事事件3件の弁護人で、有罪の場合の量刑と、行政処分の軽重・処分の時期を調べています。時期が知りたいのは、病院を貸したい・アルバイトの医師を手配したいということらしいです。 実…

男児が被害者の強制性交事件(高松地裁R01.9.4)

D1LAWに掲載されました。 児童淫行罪の罪となるべき事実としては、影響関係(立場利用)が記載されていないので、理由不備の疑いがあります。 okumuraosaka.hatenadiary.jp そもそも男児は強姦されているのに、「(男児が被告人に)淫行した」と評価されるの…

実子(10)に対する強制わいせつ罪(176条後段)+提供目的製造罪で懲役3年執行猶予5年保護観察(大阪地裁H30.10.29)

13未満だから、監護者わいせつ罪にはならない 第1第2とは観念的競合が正解。 大阪地方裁判所平成30年10月29日 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。理由 (…

迷惑防止条例違反の罪の構成要件該当性を判断するに当たっては,もっぱら行為自体やそれを取り巻く客観的,外形的事情によって判断すべきであり,行為者の目的や性的意図の有無等を加味して評価するべきではないとされた事例(大阪高裁R01.8.8)

性的意図不要説。 判決速報 ○参考事項 1 本件の主要な問題点は,本条例6条1項1号の解釈,及び被告人の本件行為が本条例同号違反行為に該当するか否かである。検察官は,控訴審において,本条例が主として社会的法益を保護法益とすることに鑑みれば,その言動…

わいせつ行為とは一般人を基準として性的羞恥心を害し,健全な性道徳に反する行為をいうところ,白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させる行為は,たとえ身体接触がなく短時間の行為であっても,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為といえる。(長崎地裁H31.2.21)

新種の定義になります。裁判所も定義を示せないようなので、どんどん主張して聞いてみて下さい。 http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2019/11/07/230351 いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観…

「被害者の陰部を露出させて携帯電話で撮影するとともにその陰部を手指で広げてもてあそぶ」というわいせつ行為と「陰部を露出させる姿態をとらせて撮影して記録する」という児童ポルノ製造行為とは併合罪だが、「パンツをまくりあげて陰部露出させて撮影機能付き携帯で撮影する」というわいせつ行為と「陰部を露出させる姿態とらせて それを撮影機能付き携帯電話で撮影し、その静止画像データを同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録させて保存し」たちう行為とは児童ポルノ製造行為とは観念的競合である(某高裁h30)

「被害者の陰部を露出させて携帯電話で撮影するとともにその陰部を手指で広げてもてあそぶ」というわいせつ行為と「陰部を露出させる姿態をとらせて撮影して記録する」という児童ポルノ製造行為とは併合罪だが、「パンツをまくりあげて陰部露出させて撮影機…

児童ポルノ製造罪と強制わいせつ罪とを観念的競合とした判例・裁判例

一事不再理効の広さからは、併合罪にしたいところですが、撮影行為=わいせつ行為なので、どうしても観念的競合になる場合があるようです。 大法廷h29.11.29は沈黙でしたので、もう少し高裁でもまれて来いということでしょうか。 1 名古屋 地裁 一宮 H17.10…

令和になっても、「『わいせつな行為』とは、性欲を刺激、興奮または満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義概念に反する行為とされています。」という弁護士

そもそも、高松地裁R01.9.4は、強制性交罪(177後段)・児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)・児童ポルノ製造罪なので、「わいせつ」とか「みだらな」という問題は出てきません。 強制わいせつ罪の「わいせつ」については、大法廷h29.11.29で性的…

さいたま地裁h301121迷惑条例無罪

主 文 被告人は無罪。 理 由第1 本件公訴事実 被告人は,正当な理由なく,平成29年8月19日午後9時34分頃から午後9時41分頃までの間,東京都北区(以下略)丙株式会社■■駅から同区(以下略)同社▽▽駅に向けて進行中の電車内において,甲(当時1…

「2018年春、前夫は、勤務する会社のイベントに娘を連れて行き、その帰りに車の中で体を触るなどの行為を行った。かずみさんが離婚したのは今から9年前。娘と実父が会ったのは、このときが7年ぶりだった。」場合の罰条

警察は重い罰条から検討していくもので、 国法から見ていくと、わいせつ行為があったとしても、暴行脅迫がないということなので、強制わいせつ罪は不成立。 「現に監護する者」ではないので、監護者わいせつ罪は不成立 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童…

被告人は,女子高校生一般に対して日頃から怒りや恨み等の感情を抱いていたため,仕返しをする目的だったという弁解~法務総合研修所教官森田秀人「強制わいせつの主観的要素を立証するに当たり,本件の数日後に被告人が別の被害者に同種のわいせつ行為に及んだ事実を用いることができるとされた事例(東京高裁令元. 5. 15判決・上告中)」研修856号

被告人は,女子高校生一般に対して日頃から怒りや恨み等の感情を抱いていたため,仕返しをする目的だったという弁解~法務総合研修所教官森田秀人「強制わいせつの主観的要素を立証するに当たり,本件の数日後に被告人が別の被害者に同種のわいせつ行為に及…

「男女に対し、「お前ら、今日やらんかったら知らんぞ」などと脅迫の上、性行為を強要し、その証拠画像を撮影して送るよう指示していた。」場合の罪名

強制性交罪が検討されますよね。 13未満の男女に強制性交させた事例があります http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/09/05/000000 https://bunshun.jp/articles/-/14745 時期は昨年末ごろ。加害教師4人組の1人で、30代男性のA教師が、後輩教師の…

同一児童に対する、強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ製造を起訴するときには、二重起訴にならないように注意する

3/6逮捕 1/下旬のわいせつ行為 3/26再逮捕 9/30のわいせつ行為 5/24 公判1回目 9/30のわいせつ行為 6/25 公判2回目 11/下旬のわいせつ行為 7/30 公判3回目 わいせつ行為+その際の児童ポルノ製造 9/13 公判4回目 求刑3年6月 10/8 判決 2年6月 被害者(8)が…

「「今日暇だから自撮りでも送ってよ」「むねとかね」「あーいいんだー」「まわっても」等のメッセージを送信し,いずれもその頃,前記●●●において,前記Aにこれらを閲覧させ,同人の胸を撮影した画像の送信を要求し,その要求に応じなければ,同人の名誉に危害を加えかねない旨を告知して同人を脅迫し,同人を怖がらせ,」という強要被告事件の罪となるべき事実(千葉地裁H31.2.22)

「よって,同日午後7時37分頃から同日午後7時59分頃までの間,3回にわたり,同人に,乳房を露出するなどした姿態をとらせ,これを同人の携帯電話機で撮影させた上,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,その画像データ3点を被告人…

強制性交被告事件(177条後段)の罪となるべき事実で「養女と性交しようとした」とする一審判決について、「強制性交等未遂罪の事実を判断する際は、実行の着手があったことを認める具体的事実を記載しなければいけない」として原判決を破棄した事例(宮崎支部R01.9.26 1審宮崎地裁R01.6.20)

強制性交被告事件(177条後段)の罪となるべき事実で「養女と性交しようとした」とする一審判決について、「強制性交等未遂罪の事実を判断する際は、実行の着手があったことを認める具体的事実を記載しなければいけない」として原判決を破棄した事例(宮崎支…

監護者性交・監護者わいせつの報道や判例DBで公開されている判決

小樽支部のは非公開か 裁判所 支部 判決日 宣告刑(年) 宣告刑(月) 猶予 求刑(年) 求刑(月) 罪名 未遂既遂 札幌 H29.12.13 7年 10年 監護者性交 熊本 H29.12.25 5年 監護者性交 熊本 H29.12.25 5年 監護者性交 熊本 H30.2.2 5年 5年 監護者性交 熊本 …

監護者性交の判決報道

報道をまとめただけです。未遂でも実刑ですね。 弁護人に加えて頂ければ、もっと詳細に調査します。 裁判所 支部 判決日 宣告刑(年) 宣告刑(月) 猶予 求刑 罪名 札幌 2017/12/13 7年 10年 熊本 2017/12/25 5年 熊本 2017/12/25 5年 熊本 2018/2/2 5年 5…

 侵入して数人にわいせつ行為をしても処断刑期は強制わいせつ1罪の法定刑にとどまる現象=かすがい効果

報道の事件で建造物侵入の成否や罪数がわかりませんが、 女子寮や民宿の大部屋への侵入+数人への強制わいせつ事件ではかすがい現象によって科刑上一罪となって、被害者数人でも処断刑期の上限が10年(併合罪だと15年)になることがあります。 普通、4人にわ…

わいせつ自撮り」を女子高生に強制した行為を強制わいせつ罪とした事例(長崎地裁R010917)

こういう新種の行為が何罪かということになると、「わいせつ」の定義が必要ですが、最高裁判例では定義はありません。 同様の行為について、強制わいせつ罪ではなく強要罪とした高裁判例があります。 東京高等裁判所H28.2.19 広島高裁岡山支部H22.12.15 http…

 弁護士ドットコムの弁護士によれば、盗撮ハンターとの示談は、真の被害者との関係でも有効らしい。

弁護士ドットコムの弁護士によれば、盗撮ハンターとの示談は、真の被害者との関係でも有効らしい。 「盗撮ハンター」というのは被害者の代理人でもなんでもないただの恐喝犯ですよね。 示談とか弁済の効力はないし、後日検挙されることもありますよね。 http…

虚偽自白が撤回できない話

前田裕司・奥村回[編]「えん罪・氷見事件を深読みする国賠訴訟のすべて 」 p7 9 自白偏重そのもの 長能ら警察官は、アリバイ資料を入手しながら無視若しくは隠匿し、物的証拠がまったくないまま、柳原氏を恐怖に陥れ自白を強要した。 長能ら警察官は、事件を…

12/8と12/9の児童ポルノ製造を併合罪とした事例(京都地裁R010607)

包括一罪が正解で、判例もいくつかあります。 口腔性交がなければ1号ポルノ製造にもならないので、強制性交と製造罪の観念的競合の主張も可能だと思います。そうすれば処断刑期も変わってきます。 強制性交等被告事件 京都地方裁判所 令和1年6月7日第1刑…

粟田知穂(あわたともほ)検事曰く「わいせつな行為とは,性欲を刺激,興奮又は満足させ, かつ,普通人の性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいう」(条文あてはめ刑法)

「わいせつな行為とは,性欲を刺激,興奮又は満足させ, かつ,普通人の性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいうものとされます」(金沢支部s36.5.2)は、性的意図を含み社会的法益を重視する定義であり大法廷h29.11.29では採用されませんで…

監護者性交無罪判決(福岡地裁R010718)

監護者性交無罪判決(福岡地裁R010718) 福岡地方裁判所令和01年07月18日 出席検察官 清水登 私選弁護人 柴尾知宏 主文 被告人は無罪。 ・・・ (求刑 懲役9年) 第2刑事部 (裁判長裁判官 溝國禎久 裁判官 蜷川省吾 裁判官 多田真央)