児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ行為とは一般人を基準として性的羞恥心を害し,健全な性道徳に反する行為をいうところ,白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させる行為は,たとえ身体接触がなく短時間の行為であっても,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為といえる。(長崎地裁H31.2.21)


 新種の定義になります。裁判所も定義を示せないようなので、どんどん主張して聞いてみて下さい。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2019/11/07/230351
いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう(金沢支部S36.5.2)
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 性的自由を侵害する行為(大阪高裁 大法廷h29.11.29の控訴審
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 「一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。」東京高裁H30.1.30(奥村事件 上告棄却)
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 「被告人が13歳未満の男児に対し,~~などしたもので,わいせつな行為の一般的な定義を示した上で該当性を論ずるまでもない事案であって,その性質上,当然に性的な意味があり,直ちにわいせつな行為と評価できることは自明である。」(広島高裁H30.10.23 奥村事件 上告中)
・・・
「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。(福岡高裁H31.3.15)

裁判年月日 平成31年 2月21日 裁判所名 長崎地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)127号 ・ 平30(わ)139号 ・ 平30(わ)158号
事件名 強制わいせつ致傷、窃盗被告事件
文献番号 2019WLJPCA02216008
理由
 (犯罪事実)
 被告人は,
 第1 平成30年5月11日午後4時30分頃,長崎市〈以下省略〉玄関において,同所に置かれていた●●●所有の運動靴1足(時価約1000円相当)を窃取した。
 第2 平成30年6月2日頃,長崎市〈以下省略〉物干し場において,同所に干されていた同人所有のパンツ2枚等4点(時価合計約1100円相当)を窃取した。
 第3 平成30年6月5日午後3時30分頃,長崎市〈以下省略〉付近路上において,徒歩で下校中のA(当時7歳)に対し,同人が13歳未満であることを知りながら,その背後から近づき,路上に転倒したAの下着をつかんで膝付近まで引きずり下ろすなどして同人の臀部等を露出させ,もって13歳未満の者に対し,わいせつな行為をし,その際,同人に全治約10日間を要する見込みの腰臀部打撲挫傷の傷害を負わせた。
 (事実認定の補足説明)
 弁護人は,判示第3の事実について,被告人によるAの下着をつかんで膝付近まで引きずり下ろすなどして同人の臀部等を露出させた行為はわいせつ行為に該当しないと主張するが,わいせつ行為とは一般人を基準として性的羞恥心を害し,健全な性道徳に反する行為をいうところ,白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させる行為は,たとえ身体接触がなく短時間の行為であっても,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為といえる。
 以上から,判示第3の事実を上記のとおり認定した。
 (法令の適用)
 罰条
 被告人の判示第1及び第2の各行為は,いずれも刑法235条に該当する。
 被告人の判示第3の行為は,刑法181条1項(176条後段)に該当する。
 刑種の選択
 判示第1及び第2の各罪についてはいずれも所定刑中懲役刑を選択し,判示第3の罪については所定刑中有期懲役刑を選択する。
 累犯加重
 前記の前科があるので判示第1ないし第3の各罪の刑について刑法56条1項,57条によりそれぞれ再犯の加重をする(ただし,判示第3の罪については,同法14条2項の制限内で加重。)。
 併合罪の処理
 判示各罪は,刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第3の罪の刑に同法14条2項の制限内で法定の加重をする。
 宣告刑の決定
 前記のとおり加重した刑期の範囲内で,被告人を懲役7年に処する。
 未決勾留日数の算入
 刑法21条を適用して未決勾留日数中170日をその刑に算入する。
 訴訟費用の処理
 訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。
 (検察官藤原伸二,国選弁護人大西由紀子(主任),伊藤岳各出席)
 (求刑―懲役8年)
 平成31年3月5日
 長崎地方裁判所刑事部
 (裁判長裁判官 小松本卓 裁判官 堀田佐紀 裁判官 松本恭平)