別罪を加える訴因変更があれば、公訴事実の同一性を争って、罪数処理をcheckします。
①起訴状
起 訴 状
被告人は
被害児童(当時12歳)が13歳未満の者であることを知りながら、令和7年6月16日午後8時55分頃、被告人方において、前記被害児童にその胸部及び陰部を露出する姿態をとらせ、これを被告人が使用する携帯電話機で撮影し、その画像データ1点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をするとともに、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し
たものである。
罪 名 及 び 罰 条
不同意わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
刑法176条3項、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項3号
②訴因変更請求
訴因並びに罪名及び罰条変更請求書
被告人に対する強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、不同意わいせつ被告事件につき、起訴状記載の訴因並びに罪名及び罰条を下記のとおり変更したく請求する。
記
1 公訴事実を次のとおり改める。
正当な理由がないのに、被害児童(当時12歳)が13歳未満の者であることを知りながら、令和7年6月16日午後8時55分頃、被告人方において、前記被害児童にその胸部及び陰部を露出する姿態をとらせ、これを被告人が使用する携帯電話機で撮影し、その画像データ1点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、前記被害児童の性的姿態等を撮影するとともに、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し
2 罪名及び罰条第2を次のとおり改める。
不同意わいせつ、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
刑法176条3項、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、1号イ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項3号
③判決
罪となるべき事実
第3 正当な理由がないのに、前記A(当時12歳)が13歳未満の者せあることを知りながら、令和7年6月16日午後8時55分頃、被告人方において、前記Aにその胸部及び陰部を露出する姿態をとらせ、これを被告人が使用する携帯電話機で撮影し、その画像データ1点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、前記Aの性的姿態等を撮影するとともに、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し法令の適用
不同意わいせつの点 刑法176条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
性的姿態等の撮影の点 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、1号イ、令和5年法律第67号附則2条
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
判示第4ないし第6の各行為のうち科刑上の一罪の処理
判示第3の罪について
刑法54条1項前段、10条(最も重い不同意わいせつの罪の刑で処断)
そして不同意わいせつ罪(176条3項)と性的姿態撮影罪、不同意わいせつ罪(176条3項)と4項製造罪(姿態をとらせて製造罪)。不同意わいせつ罪(176条3項)と4項製造罪が、観念的競合となることが確認されました。
5
(2)判断:
・・・
また、原判示第3の事実は、児童の性器等に触るなどの身体にじかに接するわいせつな行為をするとともに、当該行為に係る児童の姿態を撮影して記録・保存するという態様ではなく、Aに胸部及び陰部を露出した姿態をとらせて、これを撮影して記録・保存したというものである。
このような事案において、被告人のした行為を社会的見解上一個のものと評価し、不同意わいせつ罪と4項製造罪とがいわゆる観念的競合として科刑上一罪の関係にあるとした原判決の判断が誤っているとはいえない。
よって、訴因の不特定をいう論旨は、いずれもその前提を欠いており、不法な公訴受理には当たらない。
・・・8不告不理の主張について
(1)論旨:原判示第3について
当初の公訴事実は、不同意わいせつ及び児童ポルノ製造罪に当たる事実を訴因とするものであったところ、検察官は、これに性的姿態等撮影罪の訴因及び罰条を追加する訴因等変更請求をなし、原審裁判所はこれを許可した。
しかし、不同意わいせつ罪と性的姿態等撮影罪とは、撮影の点が重なるものの、陰部'胸部を露出する姿態をとらせる点は、前者の実行行為であるが後者の実行行為ではないため重ならないし、両罪に触れる行為が通常伴う関係にあるともいえず、保護法益や性質も相当異なることなどから、併合罪の関係にある。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影処罰法」という。)2条3項が設けられた趣旨からしても、そのように解すべきである。
また、4項製造罪と性的姿態等撮影罪とは、撮影の点が重なるものの、性的姿態等撮影罪は媒体への記録行為や複製行為に及ばないため、重なりは一部であるし、両罪に触れる行為が通常伴う関係にあるともいえず、保護法益や性質も相当異なることなどから、やはり併合罪の関係にある。
そうすると、上記訴因等変更請求に係る公訴事実は当初の公訴事実との同一性を欠くから、その許可は違法無効である。
それゆえ、性的姿態等撮影罪について
判断した原判決は、審判の請求を受けない事件について
判決をしたものであり、刑訴法378条3号の破棄事由がある。
(2)判断:不同意わいせつ罪や4項製造罪と性的姿態等撮影罪とで保護法益が異なることは、それぞれの罪が成立する根拠となっても、いわゆる観念的競合となり得ない理由にはならない。
原判示第3の事実について、その行為の態様は5(2)第2段落のとおりであり、このような事案において、被告人のした行為を社会的見解上一個のものと評価し、不同意わいせつ罪及び4項製造罪と性的姿態等撮影罪がいわゆる観念的競合として科刑上一罪の関係にあるとした原判決の判断が誤っているとはいえない。
なお、そのような判断が性的姿態撮影処罰法2条3項の規定によって妨げられるともいえない。
よって、当初の訴因と訴因等変更請求に係る訴因とで公訴事実の同一性を欠くとして訴因等変更許可の違法をいう論旨は、その前提を欠いており、刑訴法378条3号には当たらない。