児童をして裸画像を送信させる行為を「わいせつ行為」(刑法176条)とした裁判例
これまで何回も高裁で否定されてましたが。
某地裁r7.3.12
(法令の適用)
罰条
犯罪事実
第1
映像送信要求の点刑法182条3項2号、 令和5年法律第66号附則3条
不同意わいせつの点刑法176条3項、 1項、 令和5年法律第66号附則3条
性的姿態等撮影の点 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、 1号イ、 附則2条
児童ポルノ製造の点 児童買春、 児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、 2条3項3号
科刑上一罪の処理
犯罪事実第1の各罪 刑法54条1項前段、後段、10条(映像送信要求、不同意わいせつ及び性的姿態等撮影は、 1個の行為が3個の罪名に触れる場合であり、不同意わいせつと児童ポルノ製造との間には手段結果の関係があるので、結局以上を1罪として最も重い不同意わいせつ罪の刑で処断)
併合罪の加重 刑法45条前段、 47条本文、 10条 (重い犯罪事実第2の罪の刑に法定の加重)
全部執行 猶予刑法25条1項
訴訟費用の不負担
刑事訴訟法181条1項ただし書
(判示第1に関する弁護人の主張について)
1 弁護人の主張の要旨
弁護人は、 ① 判示第1の各罪は併合罪の関係に立ち、公訴事実の単一性を欠くため、公訴棄却すべきである、 ② 映像送信要求罪は、 「その他の姿態」 「性器」「わいせつ」 の文言が不明確であり、 憲法31条に反し無効である、 ③映像送信要求罪は、 不同意わいせつ罪が成立する場合、 それに吸収されて成立しない、とそれぞれ主張する。2 当裁判所の判断
(1)①に対する判断 (判示第1の所為中の行為の犯罪該当性と罪数関係等)
検察官は、 判示第1に対応する公訴事実には、
ア 被告人が、Aに対し性的な部位をとってその映像を送信するよう求める行為、
イ Aに性的な部位を露出した姿態をとらせた上撮影させた行為、
ウ その画像データを被告人に送信させた行為、
エ 送信された画像データを別のスマートフォンに送信して、その内蔵記録装置に記録させた行為
が含まれるが、 アイ及びウの行為が不同意わいせつ罪に、アが映像送信要求罪に ア及びイが性的姿態等撮影罪に、ないしが児童ポルノ製造罪にそれぞれ該当するとの趣旨で訴追した旨釈明した上、それらの罪数関係については、不同意わいせつ、映像送信要求及び性的姿態等撮影が観念的競合の関係に、 不同意わいせつと児童ポルノ製造が牽連犯の関係にそれぞれ立ち、 結局以上が利刑上一罪となる旨主張した。
当裁判所は、犯罪の成立については検察官の訴追意思に関する釈明を踏まえ、その訴追どおりの犯罪が成立すると判断すると共に、各罪の罪数関係についても検察官の主張と同様の判断をした。 また、 判示第1について公訴棄却事由は存しないと解する。
以下、補足する。
ア 不同意わいせつ罪、 性的姿態等撮影罪、 映像送信要求罪の罪数関係
本件において不同意わいせつ罪や性的姿態等撮影罪の実行行為となる性的姿態をとらせて撮影する行為を、被害者を利用して実現するためには、被告人による映像送信要求行為が前提となるから、不同意わいせつ罪及び性的姿態等撮影罪の実行行為には、性的姿態をとらせて撮影する行為のみならず、映像送信要求行為が内在する。 そのため、 映像送信要求罪、不同意わいせつ罪及び性的姿態等撮影罪の実行行為は、 映像送信要求行為の限度で一部重なり合う関係にある。 また、 本件では、被告人による映像送信要求行為後、 被害者が直ちにこれに応じており、映像送信要求行為と性的姿態の撮影行為がほぼ同時的に行われている。 こうした事情に照らせば、これら3罪の実行行為は、社会通念上1個の行為と認められ、 3罪は観念的競合の関係にあると解すべきである。
イ不同意わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係
イ不同意わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係
性的姿態をとらせて撮影する類型の不同意わいせつ罪においては、 被害者に性的姿態を撮影させるにとどまらず、 それを送信させることによって、 被告人自身が被害者を性的な対象として利用できるようになり、 撮影時よりも性的な侵害性が強まるのだから、不同意わいせつ罪の実行行為には、 撮影させた性的姿態の映像を送信させる行為も含まれると解される。
そして、 被告人が被害者に性的姿態の映像を送信させるのは、被告人自身が被害者を性的な対象として利用するためであるから、 被告人がその目的を実現するため、当該映像を自己の端末等に保存することも、 通常随伴する行為であると考えられ、このことは複製を伴う場合においても異ならない。
したがって、 本件における不同意わいせつ罪と児童ポルノ製造罪とは、 手段と目的の関係にあるとの評価が可能であり、 牽連犯の関係にあると解される。
ウ 小括
以上より、 映像送信要求罪、 不同意わいせつ罪及び性的姿態等撮影罪は観念的競合の関係、不同意わいせつ罪及び児童ポルノ製造罪は牽連犯の関係にあるから、これら4罪は、 不同意わいせつ罪をかすがいとして一罪の関係となる。
なお、 罪数判断の如何にかかわらず、 判示第1に係る公訴事実について不適法な点はなく、 公訴棄却事由は存しない。
(2) ②に対する判断(映像送信要求罪処罰規定の明確性)
「わいせつ」(刑法182条3項柱書) な行為にあたるか否かは、当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し、社会通念に照らして判断されるものであり、わいせつな行為の内容が不明確であるとはいえない。
「その他の姿態」(同項2号)は、同項の文言 (「膣又は肛門に身体の一部(中略) 性的な部位を露出した姿態」 (同項2号)、「当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。」 (同項柱書) ) や、 映像送信要求罪が性犯罪の前段階を処罰するため設けられたものであることに照らせば、一般人の理解において、当該姿態をとらせてその映像を送信すれば、重大な性的自由・性的自己決定権の侵害が生じる場合、 つまり、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立するような場合に映像送信要求罪の適用を受けるものと判断できる。
そのため、 「その他の姿態」 が不明確であるとはいえない。
「性器」は、一般人であれば、その文言自体から、おおむね生殖器であると理解することができ、 不明確であるとはいえない。
したがって、 映像送信要求罪の規定は、明確性の原則に反せず、 憲法31条に違反しないから、 弁護人の主張は採用できない。
③に対する判断 (映像送信要求罪と不同意わいせつ罪の関係)
映像送信要求罪は、 性的保護状態を保護法益とするものであり、 性的自由・性的自己決定権を保護法益とする不同意わいせつ罪の予備行為として設けられたものではないから、 映像送信要求罪に加えて不同意わいせつ罪にあたる行為がなされたとき、 2つの法益侵害が生じるといえ、 映像送信要求罪は不同意わいせつ罪に吸収されず、 両罪が成立する。
したがって、 弁護人の主張は採用できない。
3結論よって、 弁護人の主張はいずれも採用できない。
名古屋地裁r6.4.23
(事実認定の補足説明)
弁護人は、判示の事実中、Aに撮影させた静止画データ3点及び動画データ1点を被告人が使用する携帯電話機に送信させた行為につき、16歳未満の者に対する映像送信要求罪の実行行為であることは争わないとしつつ、これは不同意わいせつ罪のわいせつ行為には当たらないと主張する。
刑法176条の「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うためには、行為その'ものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、当該行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを具体的事実関係に基づいて判断するのが相当である(最高裁平成29年11月29日大法廷判決・刑集71巻9号467頁)。
本件において、被告人は、当時15歳のAに対し、その性器等を露出した姿態をとって撮影して被告人のスマートフオンに送信することを要求し、Aに性器及び胸部を露出した姿態をとらせて静止画及び動画を撮影させて被告人に当該データを送信させたものである6性器や胸部は性的意味合いの強い部位であり、これらの部位を露出した姿態をとらせることは、それ自体強い性的性質を有するものである。
さらに、このような性的な姿態を撮影させ、これを送信させることは、これを被告人を含む他人が閲覧し、性的な姿態を被告人等において性的な対象として利用することを可能にするものであるから、性的な姿態をとらせる前記行為と一体のものとして、全体としてこれらがわいせつな行為に当たることは明らかといえる。
したがって、判示のとおり、上記データを送信させた行為を含めて不同意わいせつ罪のわいせつ行為と認定することが相当で.ある。
なお、弁護人は、東京高裁平成28年2月19日・東京高等裁判所判決時報刑事67巻1頁)を引用し、上記データを送信させる行為はわいせつ行為に当たらない旨主張する。
しかしながら、上記高裁判例のうち、弁護人が主張の根拠とする、「画像データを送信させる行為をもってわいせつな行為とすることはできない」との説示部分は、強要罪の成否に関して論じるに当たっての傍論にすぎないと解すべきであり、本件の前提とすべきものとはいえない。
弁護人の主張は理由がない。
(法令の適用)
罰条
不同意わいせつの点につき包括して刑法176条1項1号、3項、令和5年法律第66号附則3条前段
16歳未満の者に対する映像送信要求の点につき包括して刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条前段
性的姿態等撮影の点につき包括して性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録されだ性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項2号、4号、令和5年法律第67号附則2条前段
科刑上一罪の処理
刑法54条1項前段・後段、10条(不同意わいせつ罪と性的姿態等撮影罪とは1個の行為が2つの罪名に触れる場合であり、かつ、これらの行為と16歳未満の者に対する映像送信要求との間にはそれぞれ手段結果の関係があるため、結局以上を1罪として最も重い不同意わいせつ罪について定めた懲役刑で処断)
反対する高裁判例
強要罪と平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例(判タ1432号)
児童ポルノを製造する罪は,上記最高裁決定の事案である児童福祉法34条1項6号に触れる児童に淫行をさせる罪のほか,強姦罪,強制わいせつ罪,青少年保護育成条例にいう淫行をさせる罪などとともに犯されることも多いが,上述したとおり,「1個の行為」性が肯定できるか否かは事案ごとの判断となるため,上記最高裁決定後,こうした罪と児童ポルノを製造する罪との罪数について,いかなる判断がされるかについては,事例の集積が待たれるところである。
本判決は,強要罪と3項製造罪の関係についても,上記最高裁決定と同様の罪数判断をした高裁レベルの判決として一事例を加えるもので,参照価値があるものと思われる。
なお,本判決のほか,強要罪と3項製造罪の関係について,本判決同様,併合罪の関係にあるとの判断をした高裁判決として,広島高裁岡山支部平成22年l2月15日判決(高等裁判所刑事裁判速報集平成22年度l82頁)がある。東京高裁H28.2.19
判 決
上記の者に対する強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,平成27年8月25日新潟地方裁判所高田支部が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官阿賀学出席の上審理し,次のとおり判決する。
主 文
本件控訴を棄却する。
理 由
弁護人奥村徹の控訴趣意は,訴訟手続の法令違反,法令適用の誤り及び量刑不当の主張であり,検察官の答弁は,控訴趣意にはいずれも理由がない,というものである。
1 法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
論旨は,要するに,原判決が強要罪に該当するとして認定した事実は,それだけでも強制わいせつ罪を構成するから,強要罪が成立することはないにもかかわらず,これを強要罪であるとして刑法223条を適用して有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり,また,原判決が平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の罪(以下「3項製造罪」という。)に該当するとして認定した事実も,実質的には強制わいせつ罪に当たり,以上の実質的に強制わいせつ罪に該当する各事実について,告訴がないまま起訴することは,親告罪の趣旨を潜脱し,違法であるから,公訴棄却とすべきであるのに,実体判断を行った原審には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものであると解される。
(1)強要罪が成立しないとの主張について
記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
また,②については,量刑の理由は,犯罪事実の認定ではなく,弁護人の主張は失当である。
そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。
以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関係にはないから,法条競合により強要罪は成立しないとの弁護人の主張は失当である。
(2)公訴棄却にすべきとの主張について
以上のとおり,本件は,強要罪に該当するとみるほかない事実につき公訴提起され,そのとおり認定されたもので,強制わいせつ罪に包摂される事実が強要罪として公訴提起され,認定されたものではない。
また,原判決の認定に係る事実は,前記(1)のとおり,強制わいせつ罪の構成要件を充足しないものである上,被害者撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機で受信・記録するというわいせつな行為に当たらない行為を含んだものとして構成され,これにより3項製造罪の犯罪構成要件を充足しているもので,強制わいせつ罪に包摂されるとはいえないし,実質的に同罪に当たるともいえない。
以上のとおり,本件は,強要罪及び3項製造罪に該当し,親告罪たる強制わいせつ罪には形式的にも実質的にも該当しない事実が起訴され,起訴された事実と同旨の事実が認定されたものであるところ,このような事実の起訴,実体判断に当たって,告訴を必要とすべき理由はなく,本件につき,公訴棄却にすべきであるとの弁護人の主張は,理由がない。
(3)小括
以上の次第で,法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反をいう論旨には,理由がない。
2 法令適用の誤りの主張について
論旨は,原判決は,強要罪と3項製造罪を観念的競合であるとした上で,強要罪の犯情が重いとして同罪の刑で処断することとしたが,本件の脅迫は一時的で,害悪もすぐに止んでいるのに対し,3項製造罪は画像の流通の危険やそれに対する不安が長期に継続する悪質なもので,原判決の量刑理由でも,専ら児童ポルノ画像が重視されており,犯情は3項製造罪の方が重いから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある, というのである。
しかしながら,本件の強要罪に係る脅迫行為の執拗性やその手口の卑劣性などを考慮すれば,3項製造罪に比して強要罪の犯情が重いとした原審の判断に誤りはない。
法令適用の誤りをいう論旨は,理由がない。
なお,原判決は,本件において,強要罪と3項製造罪を観念的競合であるとしたが,本件のように被害者を脅迫してその乳房,性器等を撮影させ,その画像データを送信させ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録して児童ポルノを製造した場合においては,強要罪に触れる行為と3項製造罪に触れる行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえず,両行為の性質等にも鑑みると,両行為は社会的見解上別個のものと評価すべきであるから,これらは併合罪の関係にあるというべきである。したがって,本件においては,3項製造罪につき懲役刑を選択し,強要罪と3項製造罪を刑法45条前段の併合罪として,同法47条本文,10条により犯情の重い強要罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で処断すべきであったところ,原判決には上記のとおり法令の適用に誤りがあるが,この誤りによる処断刑の相違の程度,原判決の量刑が懲役2年,執行猶予付きにとどまることを踏まえれば,上記誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。
3 量刑不当の主張について
4 結論
よって,刑訴法396条により,主文のとおり判決する。
平成28年2月19日
東京高等裁判所第5刑事部
裁判長裁判官 藤井敏明
裁判官 福士利博
裁判官 山田裕文
事件名 詐欺、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、著作権法違反、私電磁的記録不正作出・同供用被告事件
文献番号 2018WLJPCA03126005
westlaw
岡山地裁h30.3.12
第4 A(13歳未満。以下「A」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら、別表2記載のとおり、平成年月日午後11時15分頃から同月日午前10時43分頃までの間、前後8回にわたり、●●●内の同児童方において、同児童に、その乳房又は陰部を露出させる姿態をとらせ、これを同児童の撮影機能付きスマートフォンで静止画又は動画として撮影させた上、その静止画像データ3点及び動画データ5点を、同スマートフォンから被告人のパーソナルコンピュータに電子メール添付ファイルとして送信させてこれらを受信し、同月日午後11時17分頃から同月日午後零時23分頃までの間、上記被告人方において、同静止画像データ3点及び同動画データ5点を同パーソナルコンピュータに記録させて保存し、もって衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。広島高裁岡山支部平成30年8月29日宣告
原判決岡山地方裁判所平成30年3月12日宣告
主文
原判決を破棄する。
理由
(2) 訴訟手続の法令違反の主張(前記第1・3(2))について
確かに,この主張のとおり,原判示第4の事実のうち,前記(1)の②の撮影行為はそれ自体強制わいせつ罪を構成すると解される。しかし,被告人が原判示第4の罪に係る行為をした意図は児童ポルノの製造(特に自ら所持等する装置への記録)にあるし,原判示第4の事実には強制わいせつ以外の行為が含まれているのであって,撮影行為はその一部にすぎない。そして,起訴状記載の罰条も併せれば,検察官が強制わいせつを起訴したのではないことは明白であって,審理の範囲が定まらないとか,防御に支障が生じるというものでもないから,訴因が不特定であるとはいえない。また,検察官が起訴したのは非親告罪である児童ポルノ製造罪であるから,強制わいせつ罪の起訴であることを前提に親告罪における告訴が欠ける旨の弁護人奥村及び被告人の主張を採用する余地はなく,この点で原判決に訴訟手続の法令違反はない
広島高裁岡山支部h22.12.15
しかも,原判示各事実は,前記のとおり,原判示第1及び第2の各事実については,各被害者に児童ポルノ法2条3項3号所定の姿態をとらせるに際し,脅迫又は暴行によった旨認定していないし,上記各事実と同旨の各公訴事実も同様に脅迫又は暴行によった旨訴因として掲げていない上,原判示各事実及びこれらと同旨の各公訴事実についても,それぞれ,各被害者をして撮影させた画像データを被告人の使用するパーソナルコンピューターに送信させてこれらを受信し,さらに,上記コンピューターに内蔵されたハードディスクに記録して蔵置した各行為を含んでいるところ,上記各行為はいずれも3項製造罪の実行行為(原判示第3の事実については強要罪の実行行為の一部でもある。)であって,強制わいせつ罪の構成要件該当事実には含まれない事実である。
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