児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

長崎県少年保護育成条例16条2項の「少年に拒まれたにもかかわらず提供を行うように求める」行為=嫌だ、あげない、無理→該当する 何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない

長崎県少年保護育成条例16条2項の「少年に拒まれたにもかかわらず提供を行うように求める」行為=嫌だ、あげない、無理→該当する 何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない
 方言も混じるとわかりませんよね。
 なお、「送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ」というのは脅迫ですので威迫になりません。

「威迫」とは、脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為をいう。 
例:送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ

長崎県少年保護育成条例の解説h31
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第16条の2何人も、少年に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1)少年に拒まれたにもかかわらず、当該少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を行うように求めること。
(2)少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
[要旨]
本条は、少年の健全な育成を阻害するおそれのある、いわゆる児童ポルノの自画撮り勧誘行為を禁止したものである。
解説]
1 この条は、スマートフオン等の普及に伴い、SNSに代表されるコミュニティサイト等を通じて知り合った相手に、少年が自身の裸や下着姿を撮影させられたうえ、メール等で送らされる事案が後を絶たないことを受け、平成31年の改正により新設されたものである。
2 「何人も」とは、第1条の2の解説と同様であるが、インターネットを利用して勧誘行為をする場合、他県居住者等も含まれるものと解される。
3勧誘行為は、インターネット等を通じて行われることがほとんどであるが、インターネットを通じて犯行が行われた場合、行為者が勧誘を行った場所のみならず、被害者となる少年が勧誘行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地となる。
よって、コミュニティサイトやメールなどを利用して県外から県内の少年に提供を求める行為、県内から県外の少年に提供を求める行為についても規制の対象となる。
4 「当該少年に係る児童ポルノ等」とは、いわゆる「自画撮り画像」をいう。
児童ポルノ等」には、写真や電磁的記録に係る記録媒体のほか、メール等に添付する画像データも含まれる。
5本条の規定に違反して、当該少年に対し、不当な手段(「拒まれたにもかかわらず」、「欺き、威迫し又は困惑させる方法」及び「対償を供与し、又はその供与の約束をする方法」)により、当該少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた場合は、30万円以下の罰金に処せられる。
「拒まれたにもかかわらず」とは、児童ポルノ等の提供を拒絶していることをいう。
例:
嫌だ、あげない、無理→該当する
何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない

「欺く」とは、事実及び評価についての人の判断に誤りを生じさせる行為をいう。
例:
(同性や医師になりすまして)体の悩みの相談にのるから画像を送って
「威迫」とは、脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為をいう。
例:
送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ
「困惑させる」とは、相手方を困らせて戸惑わせる(不安にさせる)ことをいう。
例:送ってくれないと死ぬ、好きなら送れると思うけど
「対償を供与し」とは、児童ポルノ等を提供することに対する反対給付としての経済的利益をいい、現金に限らず物品であってもよく、金銭の貸付や返済の猶予又は免除等も含まれ、金額の多寡も問わない。,
例:
画像をくれたらお金をあげる、ギフトカードのパスワードを送付する
6本条は、不当な手段を用いた要求行為を禁止していることから、恋愛関係にある場合のやり取りや冗談等による要求行為については、本条の規定を適用しない。
また、本条の規定に違反した者が少年である場合、罰則は適用しない。
罰則
本条違反: 30万円以下の罰金
本規定の対象は、インターネットによるやり取りが主となり、通常、被疑者と被害者が対面することがないため、第23条の規定の適用はない。