児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

検察官送致前の弁護人選任届の提出先

刑事訴訟規則
第一七条(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

司法研修所編 平成29年版 刑事弁護実務
公訴提起前にした弁護人の選任は,弁護人選任届を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に提出した場合に限り,第一審においてもその効力を有する(法32I,規17)。追起訴された事件の弁護人の選任については,規則18条の2に規定されている。
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刑事訴訟実務書式要覧1(刑事実務研究会編集・新日本法規)
(5) 選任届書の提出
ア提出者, 提出先(87)
被疑者の場合
提出者は前出犯罪捜査規範133条1項により被疑者又は刑訴法3条2項の選任権者であるが,代人,使者による提出を禁ずるものではない。提出先については,刑訴規則17条は「当該被疑事件を取扱う検察官又は司法警察員」とあるが実務上は,担当検察官が直接受領する例は少ない。検察庁の「事務課」又は「検務課」に提出する。東京地方検察庁のように大きな検察庁は「事務課」が「刑事」「交通」「公安」「特別捜査」と分かれているからまず事件課で担当検事を聞き提出先の事務課をたしかめてから,その担当事務課に提出すること。司法警察員あての場合は,各警察によって取扱いが異なるので担当司法警察員に提出先を聞くことになる。

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弁護人選任届の扱いについて
刑事弁護委員会副委員長 高橋 俊彦(52 期)
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2010_04/p30-31.pdf
1.捜査段階の場合
捜査段階で弁護人としての選任を受けた場合には,弁選は「当該被疑事件を取り扱う検察官または司法警察員」に提出する必要がある(刑訴規則17条)。すなわち,検察庁に事件が送致(刑訴法 203 条)される前であれば「司法警察員」であり,送致後であれば管轄検察庁である。司法警察員に提出する必要がある場合は,当該被疑者の捜査を担当する部署に連絡をとれば、該当該警察署内における具体的な提出先を教示される(いわゆる「預かり」の場合――他の警察署が担当しているが,何らかの都合により被疑者だけ別の警察署に留置されている場合――は,留置先の警察署ではなく,担当警察署に連絡をとる必要がある。警察署留置係に確認をとれば,担当警察署は教示される。)。
検察庁に提出する必要がある場合は,事件により地方検察庁区検察庁に提出することになる(地検と区検との事務分担については,基本的に簡裁の事物管轄(裁判所法 33 条)によることになるが,例えば窃盗罪の場合は,事件によっては地検が取り扱う場合もあるため,留置担当者に押送先を確認して情報を得る場合がある。地検内での事務分担は,当該地検に確認すればよい。)。
捜査段階で弁選を提出する場合は,上で述べたとおり,記入してもらう際にその宛先が不明確なことがある。そのような場合は,宛先を空欄のままにして受領することもあり得る(記載して訂正――通常,弁護人の職印のみで訂正が認められる――することもある。)。

犯罪捜査規範
(弁護人の選任)
第百三十三条 
1弁護人の選任については、弁護人と連署した選任届を当該被疑者または刑訴法第三十条第二項の規定により独立して弁護人を選任することができる者から差し出させるものとする。
2 被疑者の弁護人の選任届は、各被疑者について通じて三人をこえてこれを受理してはならない。ただし、三人をこえて弁護人を選任することについて管轄地方裁判所または簡易裁判所の許可がある場合は、この限りでない。
3 弁護人の選任に当つては、警察官から特定の弁護人を示唆し、または推薦してはならない。
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逐条解説 犯罪捜査規範 新版第2訂(平成13年)
被疑者の弁護人の選任は、被疑者又はその代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹が弁護人と連署した書面(弁護人選任届)を当該事件を取り扱う司法警察員に差し出させるようにしなければならない(事件送致後であれば、送致を受けた検察官にし出させることとなる)。このような手続を経て選任された弁護人は、その被疑者が起訴された場合における第一審においても、引き続き有効に選任された弁護人となることができる(刑事訴訟規則第一七条)。